第31話 ページ33
「えええええええええ待って待って待ってこれ問題だって止めろ総悟こんなベッピンさんに」
「近藤さんは相変わらずですねェ。大丈夫でさぁ下心なんてありゃしません」
「…」
近藤はうろたえ、総悟は手を動かし、山崎は絶句する。
なんだこの状況は、と一般市民なら言いたくなると思うが、生憎私はそうではない。
物心ついた時から吉原に住み、男に媚を売り続けた女には、動揺する状況などあまりない。
無遠慮に胸元をかき回す彼だが、胸に意識は行っていないようだ。
何度も手首に胸の脂肪が当たるが、彼も私も気にする様子はない。
数秒後、彼は目当てのものを見つけてしまったようで。
着物から引き抜いた茶封筒を畳に投げつけた。
「…これ、どういうことかちゃんと説明してもらわねぇとですねィ?」
「「ッ」」
茶封筒の中には、99人の諭吉が入っている。
溜息をついて、私は近藤に向かって弁明をはじめようとする。
だが、その前に総悟は、大声で話し出した。
「…これで、桂の仲間ということは否定できても、『小遣い稼ぎに悪事を働いた』という
ことは確定的でさぁ。アンタまだ二十歳未満だ。こんな大金、いかがわしいこと
やっていたに決まってますぜィ近藤さん。それに、着物の下に隠したりなんざ、
薬でも運んでいたんですかねィ」
「…大金だからこそ、隠していたんですよ。それは貰ったんです。好きなものを買うようにと」
「痛めつけられたくなかったら吐くことですねィ。拷問はキツイですぜ?」
けろりと言った言葉に、脅している様子はない。この青年は真実を言っている。
吐け。吐かないなら拷問する。
それは、既に決定事項のようだ。近藤も山崎も口を挟まないことから、許されているのだろう。
重い沈黙が落ちる。
チャイナ服の青年と阿伏兎との約束の時間は、刻一刻と迫っていた。
◇
夕時が迫る屯所に、緊張が詰まっている。
密になったそれは、心臓を握りつぶす勢いだ。
近藤と山崎は退出していた。総悟という青年は、私の横に控えている。
あぐらをかいているが、隙はない。私が逃げようとすれば、即座に彼に殺されるだろう。
明日までこの状態が続いてしまったら、私はどうなるのだろうか。
金で買われた身なのに、所有者に従わないという理由で首を跳ねられるのだろうか。
いや、何か酷い罰があるかもしれない。
積もるだけの不安に気がめいる。どうにかなりそうだった。
喉が渇き、眩暈がし、口の中が粘つく。
前を、見た。
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飴崎 - ルーンさん» ありがとうございます〜。現状維持できるように頑張ります! (2015年2月7日 18時) (レス) id: 69cad8d3b5 (このIDを非表示/違反報告)
飴崎 - 英さん» ありがとうございます!今すぐ取り掛からせていただきますね! (2015年2月7日 18時) (レス) id: 69cad8d3b5 (このIDを非表示/違反報告)
飴崎 - バトラッシュさん» 頑張らせていただきます!読んでくださって本当にありがとうございます! (2015年2月7日 18時) (レス) id: 69cad8d3b5 (このIDを非表示/違反報告)
ルーン - とても面白いです!続編楽しみに待ってます! (2015年1月22日 2時) (レス) id: 04550145ac (このIDを非表示/違反報告)
英 - 面白かったです!続編楽しみに待っています! (2015年1月21日 7時) (レス) id: b6fd32bf94 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:飴崎 | 作成日時:2012年8月6日 14時