第２５話 ページ27
「は、離してくださいッ、ちょ、どこに行くつもりで」
「話は後で聞く。褒美もやろう！とにかく今は―――」
桂と呼ばれた男は、前触れなく振り向いた。
端整で、女のように整った顔が、私を見据える。
「お前の時間を、俺にくれ」
「なあああああに目の前でイチャコラこいてんだゴラアアアアアアアッ！」
―――ジャキンッ
「―――ッ！！？」
言葉は出てこない。
黒く巨大な銃身に、私は言葉を失った。
バズーカが、私達に向いている。
ドゴオオオオオオオオオオオオオオンッ
木片が散る。
煙が充満する。
歌舞伎町の外れで。
大爆発は起こった。
◇
男は、煙草の煙を緩やかに吐く。
その傍らで、奇妙なアイマスクをした青年が寝ている。
そのことも相まってか、煙草の男の機嫌はますます悪くなるばかりだ。
静かに怒りを湛える男の怒りは、不意に大爆発を遂げた。
「山崎ィ…。この状況を分かりやすく簡潔に述べろ」
男―――土方十四郎は、瞳孔のあいた瞳で、隊士達を睥睨する。
山崎と呼ばれた男は、非常にヤバイといった表情をしていた。
恐る恐る口を開くも、言葉が出てこない。
自分に責任にあるのだけは勘弁願いたいと思うも、それは無理な相談だった。
土方は、非常に厳しい。
土方は、非常に恐ろしい。
そして、土方は不公平なことは絶対にしない。
徐々に吐かれる煙が多くなっていくのをみて、山崎は三途の川を想像する。
このまま土方に怒られるなら、舌を噛み切った方が幾千倍もマシだと彼は考えていた。
つまり―――山崎が、何かヘマをやらかしたと思うのは自然だとも言える。
「えっ、と…あの…副長？」
「さぁぁぁああぁぁぁあぁん、にぃぃいぃぃいいぃぃい、いいぃぃいぃいぃ…」
行き成りカウントダウンを始めた所で、山崎はあっけなく白旗をあげた。
まじヤバイって俺このまま切腹じゃね？ヤダやだヤダ助けて助けて―――。
「すんません自分が桂を逃しましたあああああああッ」
虚空に響く、彼の声。
土方は、腰の刀に手をかけた。
――――――――カチャ
刀が鳴く。
「だよなぁだよなぁ、そおだよなぁ？潜入捜査の９０日の努力を全て無駄にしたのは、
手前だよなあ、山崎ィ」
滑らかに吐き出される言葉に、煮詰まった感情は想像を絶する。
真選組全体で総力をあげた本日の作戦は、全部が全部、山崎がなし崩しにしたのは想像に難くない。
特別配備を続けるものの、桂が現れる可能性は薄い。
今までも、そうだったのだ。
ラッキーアイテム
革ベルト
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飴崎 - ルーンさん» ありがとうございます〜。現状維持できるように頑張ります！ (2015年2月7日 18時) (
レス) id: 69cad8d3b5 (このIDを非表示/違反報告)
飴崎 - 英さん» ありがとうございます！今すぐ取り掛からせていただきますね！ (2015年2月7日 18時) (レス) id: 69cad8d3b5 (このIDを非表示/違反報告)
飴崎 - バトラッシュさん» 頑張らせていただきます！読んでくださって本当にありがとうございます！ (2015年2月7日 18時) (レス) id: 69cad8d3b5 (このIDを非表示/違反報告)
ルーン - とても面白いです！続編楽しみに待ってます！ (2015年1月22日 2時) (レス) id: 04550145ac (このIDを非表示/違反報告)
英 - 面白かったです！続編楽しみに待っています！ (2015年1月21日 7時) (レス) id: b6fd32bf94 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：飴崎 | 作成日時：2012年8月6日 14時
