第16話 ページ18
遊女に金が絡むのは日常茶飯事だ。
だが、『買い取る』という事になると、話は別になる。
ぶっちゃけ、結論は『ソレ』だ。
「・・・では、私は少々準備に時間が掛かりますので、これにて失敬」
「おや、鋭いね」
「褒めても何も出ませんよ?」
柔らかく笑えない。不自然な表情という事が自分でも分かった。
混乱の渦に頭だけが突き落とされたようだ。
状況が上手く脳に浸透して来ない。
頭が、酷く痛い。
割れるようだった。
◇
遊女が座敷から出て行くのを見送り、青年は肩を軽くすくめた。
飄々とした雰囲気はそのままに、彼はからかうような口調で言い放つ。
「―――・・・阿伏兎」
「あん?」
「どうして分かったんだい?」
完全に、完璧に、主語が抜け落ちた疑問文。
だが、阿伏兎は確信しているとでも言うように返答した。
「・・・オメーさんが進んで遊郭に行く訳ねぇと思ったまでだ。案の定、叩きゃ埃がわんさか出やがる」
「ばれてたか」
微塵も後悔や反省などを見せずに、青年は再び寝転がった。
青い瞳は未だに退屈な色を孕んでおり、白い肌は儚さを感じさせる。
数日前、青年が吉原で客を殺したという情報が流れ出したのは、今日に近い。
目撃した遊女が口を塞いでいようと、すぐに噂が広まってしまうのが吉原だ。
「・・・で、団長」
「何だい、阿伏兎」
そんな状況とはいざ知らず、青年は視線を逸らさずに応答する。
阿伏兎はそんな青年の様子に構わず、1つの疑問を口にした。
「・・・あの男、どうやって、たぶらかした?」
「何だ、全部バレてたのか」
やはり、抑揚のない声が空気を震わせる。
阿伏兎は溜め息を吐き出し、さてりと青年を咎める訳でもなく、言葉を吐く。
「あの男、あの遊女を試す為に呼んだんだろ。なんつー事してくれてんだ」
「転生卿で金に困った奴を呼んできて、適当に言葉を並べただけだよ。百華に始末されたけど」
「馬ッ鹿かぁ・・・。そういう面倒事を起こすから、俺の書く始末書が無くならねぇんだ」
阿伏兎は帰ってからの始末書を予想し、再び溜め息を吐く。
本来ならばこの団長が書かなければならないのだが、どうせ今更だ。
この青年に無理矢理押し付けた所で、無提出が関の山だろう。
青年がこの数日の間にやらかした事を、整理するべく阿伏兎は思惟を巡らした。
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飴崎 - ルーンさん» ありがとうございます〜。現状維持できるように頑張ります! (2015年2月7日 18時) (レス) id: 69cad8d3b5 (このIDを非表示/違反報告)
飴崎 - 英さん» ありがとうございます!今すぐ取り掛からせていただきますね! (2015年2月7日 18時) (レス) id: 69cad8d3b5 (このIDを非表示/違反報告)
飴崎 - バトラッシュさん» 頑張らせていただきます!読んでくださって本当にありがとうございます! (2015年2月7日 18時) (レス) id: 69cad8d3b5 (このIDを非表示/違反報告)
ルーン - とても面白いです!続編楽しみに待ってます! (2015年1月22日 2時) (レス) id: 04550145ac (このIDを非表示/違反報告)
英 - 面白かったです!続編楽しみに待っています! (2015年1月21日 7時) (レス) id: b6fd32bf94 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:飴崎 | 作成日時:2012年8月6日 14時