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第16話 ページ18

遊女に金が絡むのは日常茶飯事だ。

だが、『買い取る』という事になると、話は別になる。

ぶっちゃけ、結論は『ソレ』だ。

「・・・では、私は少々準備に時間が掛かりますので、これにて失敬」
「おや、鋭いね」
「褒めても何も出ませんよ?」

柔らかく笑えない。不自然な表情という事が自分でも分かった。

混乱の渦に頭だけが突き落とされたようだ。

状況が上手く脳に浸透して来ない。

頭が、酷く痛い。

割れるようだった。



遊女が座敷から出て行くのを見送り、青年は肩を軽くすくめた。

飄々とした雰囲気はそのままに、彼はからかうような口調で言い放つ。

「―――・・・阿伏兎」
「あん?」
「どうして分かったんだい?」

完全に、完璧に、主語が抜け落ちた疑問文。

だが、阿伏兎は確信しているとでも言うように返答した。

「・・・オメーさんが進んで遊郭に行く訳ねぇと思ったまでだ。案の定、叩きゃ埃がわんさか出やがる」
「ばれてたか」

微塵も後悔や反省などを見せずに、青年は再び寝転がった。

青い瞳は未だに退屈な色を孕んでおり、白い肌は儚さを感じさせる。

数日前、青年が吉原で客を殺したという情報が流れ出したのは、今日に近い。

目撃した遊女が口を塞いでいようと、すぐに噂が広まってしまうのが吉原だ。

「・・・で、団長」
「何だい、阿伏兎」

そんな状況とはいざ知らず、青年は視線を逸らさずに応答する。

阿伏兎はそんな青年の様子に構わず、1つの疑問を口にした。

「・・・あの男、どうやって、たぶらかした?」
「何だ、全部バレてたのか」

やはり、抑揚のない声が空気を震わせる。

阿伏兎は溜め息を吐き出し、さてりと青年を咎める訳でもなく、言葉を吐く。

「あの男、あの遊女を試す為に呼んだんだろ。なんつー事してくれてんだ」
「転生卿で金に困った奴を呼んできて、適当に言葉を並べただけだよ。百華に始末されたけど」
「馬ッ鹿かぁ・・・。そういう面倒事を起こすから、俺の書く始末書が無くならねぇんだ」

阿伏兎は帰ってからの始末書を予想し、再び溜め息を吐く。

本来ならばこの団長が書かなければならないのだが、どうせ今更だ。

この青年に無理矢理押し付けた所で、無提出が関の山だろう。

青年がこの数日の間にやらかした事を、整理するべく阿伏兎は思惟を巡らした。

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飴崎 - ルーンさん» ありがとうございます〜。現状維持できるように頑張ります! (2015年2月7日 18時) (レス) id: 69cad8d3b5 (このIDを非表示/違反報告)
飴崎 - 英さん» ありがとうございます!今すぐ取り掛からせていただきますね! (2015年2月7日 18時) (レス) id: 69cad8d3b5 (このIDを非表示/違反報告)
飴崎 - バトラッシュさん» 頑張らせていただきます!読んでくださって本当にありがとうございます! (2015年2月7日 18時) (レス) id: 69cad8d3b5 (このIDを非表示/違反報告)
ルーン - とても面白いです!続編楽しみに待ってます! (2015年1月22日 2時) (レス) id: 04550145ac (このIDを非表示/違反報告)
- 面白かったです!続編楽しみに待っています! (2015年1月21日 7時) (レス) id: b6fd32bf94 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:飴崎 | 作成日時:2012年8月6日 14時

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