第12話 ページ14
最近は、気の休まらない日々が続いている。
殺されそうになるのは既に慣れたが、ここ最近は、続き過ぎだ。
現に今、私は普段使わない倉庫の中に身を投じている。
「・・・ッ」
悲鳴を吐き出そうとしても、吐き出す口は器用に塞がれている。
喉から生産される空気の振動は、口の中で緩やかに溶け消えた。
体で低抗しようとしても、手首は�拙まれている為、出来ない。
そして私はある事に気付き、目を見開いた。
私の手首を掴んでいるその手は―――透き通るように白い。
それは、どこか見覚えのあるものだった。
『―――全部、秘密で宜しく』
脳内で、彼は言った。脳裏で、彼は語った。
―――喋るな、と。
警報が脳内で、高らかに鳴り響く。関連性のない点が、不意に繋がった。
そんな筈はない。そんな事、ある筈がないのだ。
全部が間違いだ。お門違いで、何もかもか分からない。
しかし、私は同時にそれを理解し、享受する。
認めたくはなくとも、それは紛れも無い、事実だ。
そして、私は恐る恐る振り返る。危険だと本能が訴えかけているが、もう遅い。
あの青年と関わってしまったあの時から、私の未来は決まっていたのかもしれなかった。
「―――やぁ」
そして、青年は軽やかに挨拶を交わす。
薄い暗がりの中で、橙色のアホ毛がアンテナのように、ピコピコと左右に揺れた。
倉庫の引き戸の奥に私を引き込み、彼は乱暴に閉める。
隔絶された空間。
逃げ場は、無い。
「――久しぶり。っていうか、数日前に会ったばっかりか」
「・・・」
私は低抗を止め、静かに様子を伺う事にした。
彼を刺激するのは、出来るだけ避けたい。
「・・・沈黙、ね。俺に君を咎める気はないんだけど、ちょっとネ」
「・・・?」
「吉原の遊女は口が堅いって聞いたんだけどさ」
一体何だ。何を言っているのだろう。
疑問に思いながらも沈黙を守っていたのだが―――。
騒がしい足音と会話と共に、不意に目の前に光が飛び込んできた。
引き戸が荒々しく開かれる。
静寂が完全に破られた。
「ちょッ・・・何なんだアンタッ!・・・いい加減にしねぇと」
「―――団長。頼むからウロチョロすんなっつったろ」
聞きなれた男衆の声に、低い男の声が重なった。
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飴崎 - ルーンさん» ありがとうございます〜。現状維持できるように頑張ります! (2015年2月7日 18時) (レス) id: 69cad8d3b5 (このIDを非表示/違反報告)
飴崎 - 英さん» ありがとうございます!今すぐ取り掛からせていただきますね! (2015年2月7日 18時) (レス) id: 69cad8d3b5 (このIDを非表示/違反報告)
飴崎 - バトラッシュさん» 頑張らせていただきます!読んでくださって本当にありがとうございます! (2015年2月7日 18時) (レス) id: 69cad8d3b5 (このIDを非表示/違反報告)
ルーン - とても面白いです!続編楽しみに待ってます! (2015年1月22日 2時) (レス) id: 04550145ac (このIDを非表示/違反報告)
英 - 面白かったです!続編楽しみに待っています! (2015年1月21日 7時) (レス) id: b6fd32bf94 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:飴崎 | 作成日時:2012年8月6日 14時