8.友情 ページ9
眩しい光が溢れた＿＿
その瞬間、Aは、ぷつっと糸が切れたかの様に動きが止まった
今まで自分の意思で、動いてなかったからか、その場に倒れこんだ
(え〜〜〜！？鼻ぶつけたんだけどっ！？？
「Aちゃん！！！大丈夫！？」
急いで駆け寄ってくるカリンは、手にハンカチを持って泣きそうな顔をしている
「あ…ありがとう、ございます。カリンさん…助かりました…」
今までの事が気まずくて、思わず敬語で話してしまう
「大丈夫よ！あと、Aちゃん、“さん”とか、“ございます”とか、使わなくていいのよぉ〜？」
ハンカチを渡してくれて、涙目だけど、必死に笑顔を作って続けるカリンは、とても優しい子なんだな〜と改めて思う
「Aちゃんとは、仲良くなりたいと思っているし、なんだか距離を感じて、さみしいわ〜」
「…でも、私は、みんなのこと騙したし、そんな…仲良くするメリットなんて…」
(っ、そうだよ！私が罠に嵌めちゃったし、お兄様の事にも巻き込んじゃったんじゃん…
カリンは頭を一生懸命ふって、私の手に両手を添えた
「わたしとチトセくんは、貴女を疑ってしまったから、お互い様だわ。メリットとかデメリットじゃなくて、わたしがAちゃんと仲良くなりたいのよ〜！」
(そうやって、改めて言われると、なんか…恥ずかしい！！！
「…じゃあ、さ。カリン、私と友達になって下さい…」
今にも消えそうな声で、勇気を振り絞って、言ってみる
「もちろん、当たり前だわ！これからもよろしくね、Aちゃん！！」
「…あ、ぁあり、がとう」
安堵と友達という存在が、私には、馴染みがなくて、不意に大粒の雫が頬を伝う
＿＿＿＿あぁ、なんて優しいんだろう…温かい……
しばらくして、カリンが口を開く
「そうだわ…ねぇ、フウカちゃんたちを知らない〜？」
「多分、閉じ込められてたのは、地下牢だったと思う。ちょっと待ってね？」
そう言って、落ち着いて、深呼吸をする。
＿＿＿カリンの息遣い 私の心臓の音微かに聞こえる窓を揺らす風 時計の針を刻む… キーンと静かな廊下
大丈夫、不安じゃない。1人じゃないもん＿＿＿
『音よ、赤の城と悠久をともにする音よ』
自分の体を赤い光が覆って行く。感覚が研ぎ澄まされていく＿＿＿
『今こそ、われに力をかしたまえっ＿＿＿！』
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作者名：あんず | 作成日時：2018年5月3日 15時
