変幻なる杖 part2 ページ7
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――身体が、酷く怠い。
浮上した意識の中で、まずそれを認識し、次に誰かが自分の事を呼んでいるのが聞こえた。
「あ……」
霞む視界の中、蛍光灯の光が目を刺してその輪郭は掴めない。眼前にある白い何かに手探りで触れて、――そこでようやく、触れた誰かが検討が着いた。
自分が壊れた要因で、死にかけた要因でもあるその
断片的にしか思い出せないが、その記憶の中では自分を助けるために彼が手を尽くしてくれたことを教えてくれる。
自分は、死んでいないのか。
「勝手に逝かないでよ、もう」
「全く悪運の強いヤツだ」
アイリとエイスが、同時に言った。通常有り得ない組み合わせに、鈍い思考回路が疑問を吐き出す。
「……どうして、きみ達がいっしょなの?」
「聞きたい?」
ニヤ、とアイリが唇を歪めた。そしてユウの頬から首にかけて指を滑らせると、シャツの第一ボタンを外す。
知りたくても、追求してはいけない。アイリはこれ以上聞くならば、お前の一番嫌がることをするぞ、と暗に言っている。それは脅しではない。彼は本当にやるだろう。
「まあ、いいだろう」
エイスが横柄な態度で言う。
「オマエが生きているなら、オレ達は帰るぞ」
「元々、レガリア様の黙認の元で来ていますからね。長くいる訳にもいきません」
ゼフィラも立ち上がって、腰から羽根ペンを抜いた。それから空中に線を描き、淡く輝く空間が現れる。
「
エイスが振り返る。
「一応言っておくが、オマエを認めたわけじゃない。今回はジブリールに免じて許してやるだけだ。
次会った時は、ブッ倒す」
「はっ、やれるもんなら? ボクの蹴りだけでダウンしてたくせに」
しっしっ、とばかりに手をひらひらさせるアイリに苦笑しながら、ゼフィラがエイスの肩に手を置いた。
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作者名:ゼファー | 作成日時:2021年2月28日 15時