【オリジナル/BL】悪魔の翼2 (ページ6)

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#14 変幻なる杖ページ6

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「禁忌の道具」
　アイリはそう、呟いた。
「ボクは道具だ。魔界との戦争で勝つために造られた最高の天使――という、『道具』として生まれた」
「敵を倒し、仲間を癒すためのモノ。人格なんて求められない、利用価値だけのニセモノだ。天使かどうかさえわからない、ね」
「回復力があるからって、毎日毎日、何度も何度も翼(・)を取られるんだ。どれだけやめてと、痛いと言っても誰もやめてくれなかった。天使として扱ってくれる奴なんていなかった。そりゃそうだよ。それを命令していたのは天帝(イスデア)だもん」
　二人は何も言えなかった。アイリの過去の惨さと、信じていた天帝の罪に。
「ボクを造ることに成功したイスデアは、今度は兵士としての天使を量産して、魔界を滅ぼそうとした。あいつらにとって下位の天使は、道具でしかなかったんだ」
　アイリが嘲りの表情を浮かべる。天使だと言うのに、悪魔のように笑んだ後、軽い調子で言い放つ。
「――なんて、ね」
「え？」
　エイスが思わず聞き返す。アイリはくすくすと悪魔的(フィエンディッシュ)な笑い声を上げて続けた。
「冗談に決まってるでしょ。こんな話を信じるなんて、もしかしてキミたちもお人好しなの？」
　その嘘はあまりにも痛々しくて、二人共顔を顰める。
　再び、沈黙が部屋を支配した。
　重苦しい空気の中で眠るユウに視線を向けて、アイリはまた、呟いた。

「馬鹿だよ。本当に、馬鹿しかいないのさ……」