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放課後。
Aは「特級呪物がグラウンドにある」という仮説を確かめるべく、グラウンドへ来ていた。
フェンス越しにグラウンドの呪力を感じ取ろうとしてみるものの、掴めそうで掴めないようなもどかしい感じがあるばかりでその呪力を掌握できない。グラウンドでも校舎内でも、同じような感覚だった。
ここに呪物があるという仮説は的外れだっただろうかと少々気を落としたAだったが、ここで諦めるのもなんだか嫌だった。
「(校舎回って、呪力掌握出来るとこさーがそ。)」
そう思ってグラウンドをあとにしようとした時、女子生徒の黄色い悲鳴が耳をつんざいた。
何事だろうかと後ろを振り返ったとき、Aの目に目立つ紫色の髪が写る。
Aはミカゲだ。と小さく呟いた。
彼はどうやらサッカー部員だったようだ。同じ部活であろう男子生徒と話している。・・・かと思えば、誰かを探すように辺りを見回し始める。
誰か探してるのかな、なんて薄い感想を抱いたAだったが、こんな所で時間を潰している場合ではなかったと踵を返し、また昇降口へ戻って行った。
コツコツと室内履きが廊下を蹴る音が響く。Aは早歩きで校舎を回っていた。
足をさっさと動かしつつ呪力感知を研ぎ澄ませていくも、どこにも呪力が途切れたり濃くなったりする場所がない。
早歩きで隅々まで調べ回っては階層を変え、調べては階層を変えを繰り返していたAは遂に最上階へと辿り着いてしまった。
Aはここも見つからなければもう帰ろうと思い始めていた。
今日は色々なことがありすぎた。家に帰ってゆっくりして、明日また捜索しよう。
2分程経って、柄にもなくはぁ、と大きな溜息を吐いたAは階段の前で立ち尽くした。結局見つからなかった。
くるりと踵を返し、1階へ戻ろうとしたときAはここからさらに上へ上がる階段があることに今更気づいた。
ちらりと見てみれば、短めの階段の先に扉がある。小さな磨りガラスからは陽の光が差し込んでいた。
Aは階段を上り、この先は屋上だろうかとダメ元でドアノブに手をかけてみる。
屋上の扉は大体開かないことが多い。Aは漫画で予習済みだった。この扉にも鍵穴があるし、多分開かないだろう。
そんな予想とは裏腹に、扉はいとも簡単に開いてしまった。
「(お、ラッキー。)」
どうせならここでゆっくりしてから帰ろう。そう思ったAは扉の先へ歩を進める。
___その先には、真っ白い髪の巨人が座っていた。
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raiz(プロフ) - 六花さん» コメントありがとうございます、こっちにもコメントしてくださってたんですね・・・!小説に散りばめたギャグ要素がちゃんと機能しているか心配だったのですが、そう言って頂けると自信が持てます!これからも頑張りますね!! (2023年2月27日 22時) (レス) id: 1861dc87f7 (このIDを非表示/違反報告)
六花 - 初コメ失礼します、最近読み始めた者です!音のソノ○ティにツボって先に進めません!更新頑張って下さい! (2023年2月26日 11時) (レス) @page25 id: 5137519573 (このIDを非表示/違反報告)
raiz(プロフ) - ずんだ餅さん» コメントありがとうございます、その一言で救われます・・・!!続編移行までまだ掛かりそうですが、気長に待って頂けると幸いです!! (2023年2月23日 0時) (レス) id: cec7109ca5 (このIDを非表示/違反報告)
raiz(プロフ) - アルです!\(●°ω°●)/さん» 2度目のコメントありがとうございます、続編移行までまだかかりそうな上、新しい小説が出せるのはもっと先になってしまいそうですが今後ともよろしくお願いします!! (2023年2月23日 0時) (レス) id: cec7109ca5 (このIDを非表示/違反報告)
ずんだ餅 - おもしろかったです✨続編待っときますね!(*`▽´*) (2023年2月22日 17時) (レス) @page50 id: 12d02573a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:raiz | 作成日時:2023年2月7日 22時