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Aは懐中電灯を掲げ、先へ進む。
ちなみに、このお化け屋敷は使われていない教室を3つふんだんに使ったかなり広いものとなっている。廊下に出ている部分はダンボールで上手く塞がれていた。
Aがコツコツと靴を鳴らして歩き出すと、砂嵐のようなザー、という音が鳴り出した。
突然鳴ったのだから普通の人間ならば肩を震わせたりと何かアクションをするのだろうが、Aは真顔でズンズンと先へ進む。生憎とAは普通の人間ではないのだ。
そのまま数歩歩いてみると、懐中電灯の先に照らされた紙が目に映った。
近づいて読んでみると、どうやら謎解きのようだ。
<なおえぬねの、かいてぇ>
その紙の隣の机には、スケッチブックと古びた万年筆。Aはそれを手に取り、考える。
「(なおえぬねの・・・?おえってなんだろ。普通なにぬねのだよね。『に』が、『おえ』になってる・・・?)」
そこまで考えて、Aは俯きぎみになっていた顔をあげた。
「そっか、『に』が『おえ』になってるから、似顔絵ってことね。」
ポツリと独りごちたその時、後ろから「せいかぁい。・・・にがおえ、かいてぇ」と声がした。
Aはその気配を感じ取っていたため、特に驚くことなく万年筆を構え、素早く似顔絵を描いた。
「はい、描いた。」
「・・・え?あ、う、うん。ありがとう。
・・・・・・何コレ。」
お化け役の女子生徒は、全く怖がる様子を見せないAに動揺しつつスケッチブックを受け取った。その真っ白い画面の中にはなんだかユニークなカタチをした人間のようなものが描かれている。
Aに絵心はあまりないようだ。
「はっ・・・!!にっ、にがおぇ、ありがとう・・・。」
動揺をなんとか丸め込み、役に戻った女子生徒はそう言って消えていった。Aは似顔絵を描いてもらうことが未練の幽霊って一体何なんだろうと考えた。
まあその辺は突っ込まないでおこうと先へ進む。今度は道のりで呻き声が聞こえる。
スタスタと歩くAの足を掴もうと潜んでいた生徒は、伸ばした手がひょいひょいと避けられ、途方に暮れていた。
そんなことは知らないAは、どんどんと先へ進む。すると、懐中電灯に照らされたその先に、ダンボールでできた扉があった。
それは半開きになっている。まさに開けろとばかりの雰囲気に、Aはドアノブ部分に手をかけた。
「たのも〜!」
そしてそのまま勢いよく扉を開ける。生憎とAは普通の人間ではないのだ。(2回目)
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raiz(プロフ) - 六花さん» コメントありがとうございます、こっちにもコメントしてくださってたんですね・・・!小説に散りばめたギャグ要素がちゃんと機能しているか心配だったのですが、そう言って頂けると自信が持てます!これからも頑張りますね!! (2023年2月27日 22時) (レス) id: 1861dc87f7 (このIDを非表示/違反報告)
六花 - 初コメ失礼します、最近読み始めた者です!音のソノ○ティにツボって先に進めません!更新頑張って下さい! (2023年2月26日 11時) (レス) @page25 id: 5137519573 (このIDを非表示/違反報告)
raiz(プロフ) - ずんだ餅さん» コメントありがとうございます、その一言で救われます・・・!!続編移行までまだ掛かりそうですが、気長に待って頂けると幸いです!! (2023年2月23日 0時) (レス) id: cec7109ca5 (このIDを非表示/違反報告)
raiz(プロフ) - アルです!\(●°ω°●)/さん» 2度目のコメントありがとうございます、続編移行までまだかかりそうな上、新しい小説が出せるのはもっと先になってしまいそうですが今後ともよろしくお願いします!! (2023年2月23日 0時) (レス) id: cec7109ca5 (このIDを非表示/違反報告)
ずんだ餅 - おもしろかったです✨続編待っときますね!(*`▽´*) (2023年2月22日 17時) (レス) @page50 id: 12d02573a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:raiz | 作成日時:2023年2月7日 22時