15. ページ15
.
新学期のスタートから数日後。
学校にも(一部女子生徒からの冷たい視線にも)慣れ始めたAは早速集中力が切れ始めていた。
集中力の切れる理由としては学校でリラックス出来るようになったというのもあるが、Aが潜入任務以外の一般任務もこなし始めたというのも理由の一つである。
さすがにAといえども、朝昼夕は高校で過ごし夜は街を飛び回るという生活を繰り返していれば疲れも溜まる。
｢くぅ。｣
そして、この有様である。
数学の時間、Aは教科書を立ててパーテーション代わりにし、思いっきり寝息を立てて寝ていた。
偶に御影が起こしているのだが、起こした数分後にはまた寝ている。
すうすうと幸せそうな顔で眠るAを、御影は頬杖をついて見つめた。
｢(･･･Aさん、勉強できんのかな。)｣
それを見て思ったことがこれである。普通ならもっと思うことがあるだろうが、顔の良い女など腐るほど見てきた御影はそれくらいの感想しか抱かなかった。
少なくとも、授業で寝ている人間に対して勉強が出来ると思う人間は居ないだろう。
＿＿＿御影の疑問に対し答えが出るのは意外と早かった。
｢ミカゲ、数学教えて･･･。｣
「あ、やっぱり。｣
昼休み。教室から人が抜けていく時間、Aは御影に教科書とノートを持って頼み込んだ。
Aは数学が絶望的に出来ない｡円周率なら延々と言えるが、計算はとてつもなく苦手だ｡そればかりは、記憶力でどうにかなる問題ではないのだ｡
「自分でよく分かんないなって思うところは？」
「計算｡公式覚えてもどうにもならない･･･｡」
ずーん、と珍しく重い雰囲気を纏ったAはワークブックをパラパラと捲った｡
所々解いてはいるものの、丸がついている問題は解いた問題のうち5分の2程度だった｡
御影はそのワークをAの手から抜き取り、間違えている問題を眺めた｡
「ん、これただのケアレスミス･･･？こっちもだ｡」
「ケアレスミス･･･？？？誰？」
見たことの無い文字列に弱いAは「ケアレスミス」という単語に引っかかった｡
Aは首を捻るも、ケアレ・スミスという文字列しか浮かんでこない｡
どういう意味なんだろうかと考えようとしたが、御影にワークをずいっと目の前に掲げられたため、視線をそちらに向ける｡
「いいか？ここは･･･」
そうして、怒涛の御影数学講座が始まった｡
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 651人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
raiz(プロフ) - 六花さん» コメントありがとうございます、こっちにもコメントしてくださってたんですね･･･！小説に散りばめたギャグ要素がちゃんと機能しているか心配だったのですが、そう言って頂けると自信が持てます！これからも頑張りますね！！ (2023年2月27日 22時) (
レス) id: 1861dc87f7 (このIDを非表示/違反報告)
六花 - 初コメ失礼します、最近読み始めた者です！音のソノ○ティにツボって先に進めません！更新頑張って下さい! (2023年2月26日 11時) (レス) @page25 id: 5137519573 (このIDを非表示/違反報告)
raiz(プロフ) - ずんだ餅さん» コメントありがとうございます、その一言で救われます･･･！！続編移行までまだ掛かりそうですが、気長に待って頂けると幸いです！！ (2023年2月23日 0時) (レス) id: cec7109ca5 (このIDを非表示/違反報告)
raiz(プロフ) - アルです！\(●°ω°●)/さん» 2度目のコメントありがとうございます、続編移行までまだかかりそうな上、新しい小説が出せるのはもっと先になってしまいそうですが今後ともよろしくお願いします！！ (2023年2月23日 0時) (レス) id: cec7109ca5 (このIDを非表示/違反報告)
ずんだ餅 - おもしろかったです✨続編待っときますね！(*｀▽´*) (2023年2月22日 17時) (レス) @page50 id: 12d02573a8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：raiz | 作成日時：2023年2月7日 22時
