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そして、それから2日後。体力テストも終わり、一次選考が始まることとなった。
Aはその間、試合の際ドリンクやタオルを渡したり、フィールドの清掃、施設の清掃・・・その他諸々を担当するらしい。勿論、呪術師としての仕事も継続する。
そんな絵心の命を受けてから数時間、一次選考の第一試合が終わった頃。
Aは第一試合を終えたチームの使っていたボールを磨いていた。そして蛍光灯の光を反射してピカピカに輝くそれを見て満足気に頷くと、立ち上がり磨いたボール達を指定の場所へ戻した。
ボール磨きが終われば、今度は施設の清掃だ。まずは「この5号棟」から清掃をしようとAは各棟へ繋がる扉を開け、その先へと足を踏み入れる。
このブルーロックはとてつもなく広い。選手達のサポートもしつつ全棟の掃除を行うのは流石にAでも不可能であるため、清掃はできる範囲で良いと言われていた。
棟ごとに大きくわけて5つ部屋がある上に、そこから更にモニタールーム、トレーニングルーム・・・と別れているのだ、1つの棟を清掃するだけでもかなり骨が折れる。しかもそれはただのゴミや汚れを取る清掃でなく、呪霊という厄介なモノまで片付けなければならないのだ。
任務を聞いた時は「何とかなる」で済ましてしまったが、これは白宝の時よりも断然キツイな、と考えつつAはひとつのチームの部屋へと足を踏み入れた。
選手達は何か用かと聞いてきたが、清掃をさせて欲しいと言えば納得したように頷いて去っていく。
この男だらけの空間の中で女子1人という状況は彼等にとって色々と気にはなりそうだが、なかなかに聞き分けが良い。300人も人が居れば1人くらいは「なんでここに女が居るんだ」と激昂しそうなものだが。
やはりスポーツマンとは紳士的な人間が多いのだろうか?
そんな考えが浮かんだが、Aは圧倒的に紳士的でない人間を既に知っている。
そういえばあの下まつ毛の人はちょっと怖かったな、と考えながらもトレーニングフィールドへ繋がる扉を開けると、そこでは丁度「あの下まつ毛の人」がマットの上でヨガのポーズをとっていた。
噂をすればなんとやら、というやつだろうかとぼうっと思っていれば、彼の瞳が此方を向く。
「・・・あ?」
この下まつ毛青年、糸師 凛はヤンキー顔負けのドスの効いた声を発し、Aを睨んだ。
「・・・清掃、していいデスカ。」
一気にピンと張り詰めた空気が流れ出したこの空間に、そんな気の抜けた声が響いた。
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さくちゃん - raizさん» ありがとうございます!楽しみに待ってます!! (2023年3月25日 7時) (レス) id: f6f0c24dc1 (このIDを非表示/違反報告)
raiz(プロフ) - 水希さん» コメントありがとうございます、面白いと言っていただけて感無量です・・・!続編はもう少しでできると思います。ソワソワが治まれば() (2023年3月24日 21時) (レス) id: 1aa12f97ac (このIDを非表示/違反報告)
raiz(プロフ) - さくちゃんさん» 返信遅くなり申し訳ありません・・・!続編もう少しでできる予定です、もうしばしお待ちを・・・!! (2023年3月24日 21時) (レス) id: 1aa12f97ac (このIDを非表示/違反報告)
水希(プロフ) - 初コメ失礼します!すっごい面白いです!続編が気になってソワソワしてます!更新頑張ってください (2023年3月23日 18時) (レス) id: 0489471443 (このIDを非表示/違反報告)
さくちゃん - 続編待ってます!! (2023年3月15日 18時) (レス) @page50 id: f6f0c24dc1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:raiz | 作成日時:2023年2月25日 21時