mémoire【HP_親世代】 (ページ9)

今日:17 hit、昨日:22 hit、合計:47,977 hit

episode.9 ページ9

.

顔をあげると彼はバツの悪そうな顔をしていて、少しだけ可愛いと思った。

ｼﾘｳｽ「そんな顔をさせたかったんじゃない。
ま、少しずつ慣れてくれればいい」

頬を撫で名残惜しそうに手を引っ込めた彼はふわりと笑った。

『あの…、私はあなたをなんて呼んでたんですか？』

ｼﾘｳｽ「シリウス……そう呼んでた、怒ったときは"ブラックさん"って呼んでたけどな」

悪戯っ子のような彼…シリウスの笑顔につられて私も笑みが溢れた。

『えっと…シリウス…はどこに住んでるの？』

ｼﾘｳｽ「どこにもなにも………"ここ"に、住んでる」

『え？』

そういわれれば食器類やカトラリーも2セットずつあるし、ベッドも1人で寝るにはずいぶんと広かった気がする。
クローゼットの中はまだ見ていないが私1人にしては大きいとは思っていた。

ｼﾘｳｽ「この日だけは一緒にいるわけにはいかないだろ……起きたら知らない奴がいるなんてな」

そう言われて___それもそうか、と思った。

実感はあまりなかったが、一緒に暮らしていると言われれば嫌でもシリウスと私は恋人なんだと思い知らされた。

キッチンで手慣れた手つきでコーヒーを入れるシリウスの後ろ姿でさえも、ここでの暮らしを容易に想像できた。

ｼﾘｳｽ「それでアーサーからは何を聞いた？」

私の前にカップを置いた彼はキッチンに立ったまま優雅にカップを傾けた。

.