mémoire【HP_親世代】 (ページ31)

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episode.31 ページ31

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ｼﾘｳｽ「本当に使うのか？」

目の前のシリウスはどこか心配そう。
それもそのはず。

私は今日、ううん、明日になればすべてを忘れる。

でもこの1年の記憶…、特に"約束"のことを忘れたくなかった私はどうにか頼み込んで憂いの篩(ペンシーブ)を準備してもらったのだ。

杖を持つ手が震える。

『うまくいく保証がなくても、やってみないと』

ｼﾘｳｽ「もしAになにかあったら___」

『だとしても私、シリウスとのこと忘れたくないの。
記憶を無くしてから私のことを1番に考えてくれて、愛してくれた。
それだけでも幸せだけど、私、覚えていたい。
理由がそれだけじゃ……だめ？』

杖を握りしめてシリウスを見ると、なんとも言えない表情で私を見つめ口を開いた。

ｼﾘｳｽ「俺さ…、Aのこと、好きだ」

『なにそれ…知ってるけど？』

ｼﾘｳｽ「ちゃんと言葉にしたことなかったろ？
…俺は、ジェームズみたいにまっすぐ思ったことも言えねぇし、リーマスみたいに優しくもねぇ」

『うん…知ってる…』

ｼﾘｳｽ「Aのこと、ちゃんと愛してるから」

『………ん』

ｼﾘｳｽ「なんだよ、その返事はよ」

途中から恥ずかしくなったのかシリウスは私から視線を外していて、私が泣いているのなんて気付いてもいなかった。

でも、そういうぶっきらぼうなシリウスが好きなの。
そんな貴方が大好き。

『…私も、愛してるよ』

ｼﾘｳｽ「おう」

その言葉を聞いてシリウスは杖を私のこめかみに当てすべての記憶を抜き、憂いの篩に入れた。

その後わたしは意識を失うようにベッドへと倒れこんだ。

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