純血の日本人【HP】 (ページ2)

今日:10 hit、昨日:62 hit、合計:196,969 hit

episode.1 ページ2

side.ドラコ

父上と母上に別れを告げ、ホグワーツ特急に乗りこんだ。
空いているコンパートメントを探していたら、ふと目に入った女の子。
気づいたらドア開けて言葉を発していたようだ。

「………ここ、空いてますか」

本を読んでいた少女…いや、女性というべきだろうか。
彼女は本から視線を移すことなくこう言った。

『友達がくるから』

僕のことなんかちっとも見ていない。
いつもなら頭にきて言い返すところだが、なんだか目を離せずに彼女を見つめていた。

いつまでもそこから動かない僕を不思議に思ったはずなのに、彼女が本から目を離すことはなかった。

『…名前は？』

「ドラコ。…ドラコ·マルフォイ」

『そう、私は大和A。よろしくね、ドラコ』

そう言うと本を閉じ、僕を見つめる。
彼女と目が合った。
ブラックホールのようで、今にも吸い込まれてしまいそうな瞳。

『ファーストネーム嫌だった？
ごめんね、いまだにまだ分かんなくて…マルフ__』

「いや、ドラコでいい。」

彼女の言葉を遮りぶっきらぼうにそう言うと、彼女はふにゃっとした笑顔を覗かせた。

『ふふっ、そう？
あ、はやく空いてるコンパートメント探しな？
ホグワーツまで突っ立ったままになるよ？(笑)』

「ふん、余計なお世話だ」

強めにドアを閉め、足早にその場から離れる。
別にコンパートメントの空きが無くなるからとか、当たり前のこと指摘されてカッとなったわけでもない。
訳も分からずそうなってしまったのだ。

「なんだ、あの女」

１人ポツリと呟くと、その言葉は列車の音に消えていった。