いれぶん。 ページ13
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大学へと戻る帰り道、須貝さんが突然こんなことを言い出した。
須貝「さっきLINEで"駿貴さん"って呼んどったね。
今は須貝さんだけど……、あれは1回っきりなん?」
『あっ…あれは須貝さんが、これなら見るかなーって思っただけでっ!』
須貝「なんでそんな動揺してるん」
私の動揺っぷりを見て笑う須貝さんはちょっとだけ意地悪だ。
『だって須貝さん、歳上で私より大人だし…それに名字で呼んでる人もそんなにいないし』
須貝「え、それ、逆に特権?
でもなー、お兄さんは駿貴って呼ばれんの好きよ?」
立ち止まった須貝さんに振り返ると屈託のない笑顔で私を見ていた。
須貝「俺もAちゃんって呼ぶし。
ど?お嬢さん、"駿貴"って呼んでみない?」
『あー……、Shunki?』
須貝「いや合ってるけど!」
英語訛りの呼び方はお気に召さなかったらしい。
須貝「お嬢さーん、駿貴くん待ってるよー」
一向に歩こうとしない須貝さんを見据えて口をひらいた。
『資料探しの時間無くなるの嫌なので歩いてください。
じゃないと置いていきますよ、"駿貴さん"』
私は須貝さん…もとい、駿貴さんに背を向けて歩き始めた。
須貝「ちょっ、Aちゃん歩くんはやない?」
後ろから慌てて歩きだす足音とそんな声を聞きながら、私は静かに上がりそうな口角を抑えた。
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らい(プロフ) - 陽さん» ありがとうございます! (2022年8月29日 7時) (レス) @page31 id: 097a817d7e (このIDを非表示/違反報告)
陽(プロフ) - 好きです!応援してます! (2022年8月28日 12時) (レス) @page31 id: d969f9c7e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らい | 作成日時:2022年7月17日 10時