検索窓
今日:3 hit、昨日:4 hit、合計:49,219 hit

29 ページ31

「ぜっ、ぜぜぜ善逸くん!!!??」



全身の血液がふつふつと音を立てて沸騰してる。


「Aちゃん、ちゃんとご飯食べてる?」


彼の膝の上に乗せられた私を覗き込む金色に目眩がする。

こんな人を私は知らない。

いつもの少しおどおどして、お調子者の、騒がしい善逸くんはどこへ行ってしまったのだろう。


「俺のことそんな風に思ってたわけ?」

「へ?」

「よりによってお調子者って、泣くよ!?」

「なっ…」


なぜバレてる。

そんな顔に出てた?


ふと以前の何でもない会話を思い出す。



  『善逸くんは、耳がいいの?』


  『えっと…かなり…』

 

いや、まさか。
そんなことある?あるわけないよね!?


「だから俺、耳がいいんだって言ったでしょ」

「ッ…」

ちょっと意地悪そうに笑う善逸くんが私の片耳を擽るように触れる。

いや〈耳がいい〉の領域を超えてきてるから。

待って。
てことは全部筒抜けなの?
私の思考回路が?
善逸くんに?


「嘘でしょ…」

項垂れる私に善逸くんは可笑しそうに笑う。
いや笑い事じゃないからね。
あれだけたくさん考えて悩んだのに、音を聞いたら一発って、私がうだうだしてたのが馬鹿みたいじゃないか。

「あはは、普段からずっと聞いてる訳じゃないよ」

「でもズルい。私だって善逸くんのこと知りたいのに…」

「あのねぇ…Aちゃんの方がよっぽどズルいって分かってる?」

そう言って善逸くんは私の腰に回した腕に力を込めた。
いつもは見えないはずのつむじが視界に入って、妙に気恥ずかしい。

「善逸くん、そろそろ離して」

「だーめ。俺だってずっと悩んでたのに、寂しいなんて可愛すぎること言うから」


我慢できなくなった
 

いつもより少し低めの声で鼓膜に囁きかけられて、正気でいられる人が居たら是非とも会ってみたい。

恥ずかしさも何もかも局限を迎えた私はそっと意識を手放した。

30→←28



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (84 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
123人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 我妻善逸
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

churi(プロフ) - ☆りんご☆さん» ☆りんご☆様(^^)コメントありがとうございます!とっても嬉しいです(;O;)またご縁があればよろしくお願いします★ (2020年11月18日 15時) (レス) id: c462110017 (このIDを非表示/違反報告)
☆りんご☆(プロフ) - とても素敵なお話でした!これからも頑張ってください! (2020年11月18日 10時) (レス) id: b4140779db (このIDを非表示/違反報告)
churi(プロフ) - 葵さん» 葵様(^^)コメントありがとうございます!そう言っていただけで嬉しいです★また妄想がまとまったら形にしていきたいと思っていますので、その時は宜しくお願いします(*^^*) (2020年11月15日 5時) (レス) id: c462110017 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 続編にしても善逸の短編にしてもめちゃくちゃ楽しみです。。。。!!!!早く読みたいです!泣  頑張ってください!! (2020年11月14日 12時) (レス) id: efe86a5252 (このIDを非表示/違反報告)
churi(プロフ) - 尊さん» 尊様(*^_^*)誤字の件、教えてくださりありがとうございました!!全然細かくないです…すみません。嬉しいコメントも重ね重ねお礼申し上げます☆ (2020年11月14日 11時) (レス) id: a5a165b70a (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:churi x他1人 | 作成日時:2020年10月28日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。