七頁目 ページ9
本殿は埃っぽい。
コネシマさんもシャオロンも歩くたびに咳き込んでいる。
一応私も埃のせいで少し咳き込んでしまった。埃は生物認定されなかったようだ。
薄ら光るスマホの明かりに照らされたシャオロンはふと口を開いた。
「大先生もぼちぼち着くってよ。……コネシマ。此処、何ヶ月掃除してないん」
「覚えとるわけないやろ。Aさんは大丈夫か？」
『大丈夫です。あの、成仏ってその“大先生”という方が手助けしてくれるんですか？』
私がそういうとコネシマさんは少し考えてこう言った。
専門用語や、話の長さから全ては処理できなかったが、
『大先生は現世に止まっている「原因」を教えてくれるだけ。
コネシマさんは無理矢理成仏させることもできるが、
とにかく“やばい”からシャオロンが許さない』
ということを言われた。
まあ「原因」は大方予想がついているが、それをどうやって解決しようか。
私は予想が外れるのを祈りながら「大先生」もとい「鬱さん」を待った。
＊＊＊
「いやーすまん！あとちょっとで持ち帰れそう………
あっ！美しいそこのお嬢さん……は＜幽霊＞のようやな」
少しよれたスーツを身にまとい、彼は現れた。予想時間よりも30分遅れて。
彼も私が見えるらしい。
此処の神社の子孫であるらしい彼は、私が幽霊と知った瞬間残念そうな顔をする。
女好きは本当なんだな思いながら、私は用件を言った。
『大先生……鬱さん。私の成仏できない原因を教えてください』
「……Aさんは僕に着いてきてくれ2人はそこに待ってろよ」
もちろん名前は教えていない。
嘘つきではないと分かったことによる安心感から、私は素直に奥の間に進んだ。
奥の方は気を抜けば転んでしまいそうだ。
鬱さんは私の様子を確認しながら、どんどん進んでいく。
着いた奥の間はあの六畳間そっくりだった。
鬱さんは手際良く周りに灯を灯し、座布団に座った。
それに応じて私も座る。緊張感の走る中、鬱さんは真剣な顔をして口を開いた。
「Aさんの成仏できない原因は、シャオロンの執着。本人は自覚がなさそうやけどな」
「そして＿＿＿シャオロンに対する『同情』」
「僕らのいう成仏は、Aさんからシャオロンを祓うこと」
分かってるだろう。と言いたげに鬱さんは微笑んで再び口を開く。
「シャオロンを×せ。同じようにな。それが1番の最適解や」
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花氷 ベタ(プロフ) - 夢野さん、感想ありがとうございます！ (2022年7月16日 16時) (
レス) id: 728b26bf44 (このIDを非表示/違反報告)
夢野(プロフ) - うわあ好き(？)これからも更新めちゃくちゃ楽しみにしてます！！！ (2022年7月16日 15時) (レス) id: 078c74bdad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：花氷 ベタ | 作成日時：2022年7月16日 14時
