六頁目 ページ8
あの会話をして15分後、
凸凹の坂道に揺られながら私とシャオロンはようやく『宇津島神社』にたどり着いた。
辺りに人気はなく、所々ゴミが落ちている。
お世辞にも、神社特有の神々しさや、厳かな感じは少しも感じられない。
本当に此処で大丈夫なのか。
そうした私の心持ちを察しシャオロンは「一応、腕はいいからな」と笑った。
口角は不自然に上がっているが、安心させようとした彼の苦肉の策だったのだろう。
私は『良かった』といいどんどん奥に進んでいった。
木々に覆われているせいで、少なくなっている日が余計差し込まない。
夜といっても差し支えのない景色に、私は今頃帰りが遅いと心配する家族の様子が思い浮かんだ。
鼻がツンとなり、思わず泣き叫びたくなるが手を握り締め、堪える。
歳をとるとどんどん涙腺が脆くなっている気がするのは、もう誰も私を導く人がいないからだろう。
独りぼっちになるのなら。
そんな煩悩を振り払うように、奥に進み続ける。
今の私には、“生きている”シャオロンに着いていくしか、方法はないのだから。
＊＊＊
私たちの足音を察したのか、奥からは装束をきた、神主さんが近づいてきた。
目のいいシャオロンはすぐにぐえっと言いたげな顔をする。
多分さっき言っていた「アイツ」なんだろう。
「おーシャオロン。ついに憑かれたか！………ってまじやな」
「おいコネシマ。大声で話さんとって、うるさいわ。
A。こいつが一応神主やってるコネシマ。……コネシマ、とりあえず大先生に会わしてくれ」
奥からやってきた、金髪姿の男性は、「コネシマ」というらしい。
流石神主、私が見えるようだ。
表情がコロコロ変わる姿は、何処か昔、“太陽と言われていた頃の“シャオロン”のよう。
そんなコネシマさんはこちらを向き、口を開いた。
「アンタがシャオロンに憑いてる……というかアイツに＜執着されてる＞って言った方がええな。
名前は？」
『Aです。あの、大先生って』
「………コネシマ。必要以上に鬱とA、絶対近づけんなよ」
途中で割り込んできたシャオロンのせいで一旦「大先生」に関する話が終わる。
のちに起きた2人の言い争いから、その人が今「ナンパしにいってる」ことと、
異常なまでの「女好き」であることが分かった。
…あまり、自分からは関わりたくない相手だ。
そろそろ帰ってくるらしいので、私たちは神様のいる本殿に通された。
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花氷 ベタ(プロフ) - 夢野さん、感想ありがとうございます！ (2022年7月16日 16時) (
レス) id: 728b26bf44 (このIDを非表示/違反報告)
夢野(プロフ) - うわあ好き(？)これからも更新めちゃくちゃ楽しみにしてます！！！ (2022年7月16日 15時) (レス) id: 078c74bdad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：花氷 ベタ | 作成日時：2022年7月16日 14時
