第193話 ページ43
携帯のアラームで目が覚める
「…んっ」
慣れている身体の痛みを感じながら起き上がると、テーブルの上には飲みかけのビールの缶が一つ
…あ〜…
自分が残すなんて…と思いながら、ソファーで寝落ちした昨晩を思い出していた
スマホの画面に表示された日にちを確認し、
朝を迎えたのだとやっとそこで悟った
…今日は彼女が退院する日
あの日から、夢はあまり見なくなっていた
それは、彼女が探してといったの理由が分かったせいか、はたまた今でも彼女のことを探しているせいかは分からないけど
「…予定の時間まで」
彼女を迎えに行くまで、仕事をして、そして夜迎えに行く
と、言っても、俺が行くまで待っていてくれるのは彼女で
無理を言って夜にズラして貰ったようだ
「…んんっ」
ガラガラと渇いた喉を1度唸って整えると、俺は仕事に行く準備をした
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
仕事を終え、まっすぐ向かったのは彼女の病院
早足で彼女の病室へ向かう
もう慣れた、この部屋に来るのは
それも今日でお終い
俺は最後となる部屋の扉に手をかけた
「……お待たせ」
いつも仕切られていたカーテンは開いていて、
少しだけ開いた窓から夜風が入る
嗅ぎなれた消毒液の独特な香りと白いカーテンが靡くと共に、彼女の栗色の髪の毛がふわりと靡く
『…今日は、月が綺麗ですね』
窓を見続ける彼女はそう言った
俺が来たことを背中で感じながら、そう小さく言った
「…なーに、それ、口説いてる？」
今度は彼女の顔が見えるように、ベッドを回り込んで、ベッドに座ってる彼女の前に立つ
『…さぁ、どうでしょう』
くすくすと、また“俺だけ”が知っている彼女みたいに笑う
「…お待たせ、雫」
改めて彼女に言う
『……待ちくたびれちゃいましたよ？』
そうまた、悪戯っ子みたいに笑うと俺の手を取ってスっと立ち上がった
『この景色も結構すきでしたけど』
窓の外から月が顔を出しているのを見ながら彼女は呟く
「じゃあ、やめる？」
俺も仕返しで冗談交じりに意地悪を言うと、
『でもやっぱり飽き飽きしてました』って続けた
『…どこに連れていってくれるんでしょう』
とっても楽しみって彼女は笑う
その笑顔と共に、俺はこの手を離しちゃいけないと再び確信した
…三月ウサギは、月に帰ってしまうことはあるのだろうか
なんてそんなことを俺は月夜に思った
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雅 - eriiiさん、いつもありがとうございます。そう言っていただけてとても嬉しいです。良かったらBGM素敵なやつを脳内再生しながら読んで頂けたら笑^^*引き続き、続きもよろしくお願い致します。 (2021年4月24日 22時) (
レス) id: 6254493976 (このIDを非表示/違反報告)
雅 - サチさん» サチさん、素敵な感想ありがとうございます。今日更新しましたので、続きもぜひよろしければ^^*そう言って下さりとても嬉しいです。頑張りますね^^* (2021年4月24日 22時) (レス) id: 6254493976 (このIDを非表示/違反報告)
eriii(プロフ) - きゃー！！ドラマだったらここで絶対主題歌が流れて、次週に持ち越しの展開ですね！←読んでてめっちゃにやにやしちゃいました(*^^*) (2021年4月24日 6時) (レス) id: 5892b12f93 (このIDを非表示/違反報告)
サチ - 夢主ちゃんの場所は、江口さんの隣だと感じてほしい。そして、いつも雅さんの素敵な書き方に感動しています。続きも頑張って下さい！ (2021年4月24日 0時) (レス) id: 379e7fdd5e (このIDを非表示/違反報告)
サチ - 更新お疲れ様でした。ドキドキしながら読んでいきました。お互い想い合っているのになぁ…と思いながら、でも夢主ちゃんが何を感じで江口さんに駆け寄った時には胸にきました。全部思い出してないかもしれないけど (2021年4月23日 23時) (レス) id: 379e7fdd5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雅 | 作成日時：2021年3月28日 0時
