第173話:特別編�� ページ23
貴女side
唇を掠めた柔らかい感触に、一瞬脳がフリーズする
「…赤くなっちゃってかーわい」
その声にハッとして、彼の胸を押す
『……っ』
「あたたた、力強くない…？天宮さ…っ！」
気がつけばぽろぽろと目から涙が出てきた
「なっ…」
その瞬間、もう営業が終わって客など来ない店の扉が開いた
「…雫？」
居るはずのない声に驚き、振り返る
「……っ！」
…入ってきたのは彼だった
「…ねぇ、ちょっと何してるんですか？」
そういつもより低めの声で彼は近づいてきた
『…え、あっ…』
「誰？あんた」
「それはこっちの台詞なんですけど。てか、なんで雫泣いてるの？」
「…泣かせたのは君？」
丁寧な言葉使い
でもいつもの柔らかい感じではなく刺がある言い方
『…えぐ…っ…大丈夫だからっ』
彼の名前を言おうとして口を閉ざす
あぶない、呼んではいけない
「大丈夫じゃないじゃん、なんで泣いてんのじゃあ」
「あ！もしかして彼氏さん？」
そう言って黒川くんは帽子を被る彼のことを覗く
「…だったら何」
「ふーん…めっちゃイケメンじゃん…へぇ」
『あの、黒川く…』
「俺、ここで働いてます。天宮さんってあんたのものであってるよね？…で、単刀直入に言いますけど、天宮さんのことが好きです」
「天宮さんくれない？俺に」
「……」
『な、何言ってるの、黒川くん』
バチバチと火花が散りそうなくらいの空気感
ピリピリと肌を刺す
「…で？」
…江口さん、なんだか…
「え？」
「…で？それが？」
「は？」
「まず、雫はものじゃないし、あげるとかあげないとかじゃないし。…あげないし。」
「第一、雫を泣かせるやつになんか絶対に渡さない」
「…いこ、雫」
そう言って彼は私の腕を掴む
『あっ、えっ、』
そのまま彼に引かれ、出入口へ
「…あー、彼氏さん、言い忘れてましたけど」
「…俺、天宮さんにキスしちゃった」
「…なっ」
パッと私を見る彼
私は彼と黒川くんを交互に見る
「じゃあ、俺も帰るんでー。
バイバイ、天宮さん」
裏口から帰る黒川くん
「……」
『…あのっ』
「今のほんと？」
『……』
「本当なんだ」
『ごめんなさい…でもっ』
「…帰ろっか、雫」
そう彼は私の目を見て言う
私の涙のあとを拭きながら
またいつもの優しい彼で
「おうちに帰ろ、雫」
そう彼は言った
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雅 - eriiiさん、いつもありがとうございます。そう言っていただけてとても嬉しいです。良かったらBGM素敵なやつを脳内再生しながら読んで頂けたら笑^^*引き続き、続きもよろしくお願い致します。 (2021年4月24日 22時) (
レス) id: 6254493976 (このIDを非表示/違反報告)
雅 - サチさん» サチさん、素敵な感想ありがとうございます。今日更新しましたので、続きもぜひよろしければ^^*そう言って下さりとても嬉しいです。頑張りますね^^* (2021年4月24日 22時) (レス) id: 6254493976 (このIDを非表示/違反報告)
eriii(プロフ) - きゃー！！ドラマだったらここで絶対主題歌が流れて、次週に持ち越しの展開ですね！←読んでてめっちゃにやにやしちゃいました(*^^*) (2021年4月24日 6時) (レス) id: 5892b12f93 (このIDを非表示/違反報告)
サチ - 夢主ちゃんの場所は、江口さんの隣だと感じてほしい。そして、いつも雅さんの素敵な書き方に感動しています。続きも頑張って下さい！ (2021年4月24日 0時) (レス) id: 379e7fdd5e (このIDを非表示/違反報告)
サチ - 更新お疲れ様でした。ドキドキしながら読んでいきました。お互い想い合っているのになぁ…と思いながら、でも夢主ちゃんが何を感じで江口さんに駆け寄った時には胸にきました。全部思い出してないかもしれないけど (2021年4月23日 23時) (レス) id: 379e7fdd5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雅 | 作成日時：2021年3月28日 0時
