第7話 ページ7
貴女side
久しぶりなんだし、と彼と百合さんは
2人っきりでお話でもと2人っきりにしてくれた
そして彼は、足が悪い百合さんのことを気にかけながら石畳の階段を降りていった
気持ちがいいほどの秋晴れ
肌寒い秋の風が、先程つけた線香の煙を運ぶ
あ、あの雲は肉まんみたいだね、と言えば
返ってくる訳もない返事を待つ
そっと�猗爿瓩某┐譴�
ヒヤリとなんとも冷たい感触
…私と違う感触
『急に来てごめんね、びっくりしたでしょ〜』
『寒いね、あ、ちゃんと暖かくしてる？』
…すぐ風邪ひくから
そう、“彼”に触れながら、話しかける
『あのね、』
『…私、ずっとここに来るのが怖かったの』
…だって、貴方は急に居なくなるから
すぐ前までは、会話をしていて
幸せになろうねって、好きだよって
囁いてくれたのに…
ある日突然居なくなって
『…寂しかったよ』
…貴方は分からないかもしれないけど
『食べ物も美味しくなくて、まるで味はしないし…またいつか帰ってくるかと思ってずっと…ずっと待ってた』
そんな日々を過ごしてたら
いつの間にかこんなに経っていて
貴方の温もりだってもう消えかけていて
『…だから、雨が怖かった』
まるで、思い出までも流していくかのようで
『だから、雨が嫌いだった』
暗闇に取り残されたみたいで…
『でもね、でも』
『…私、また雨の日も
好きになれるかもしれないんだ』
ザワザワと秋風で紅葉や銀杏の木が揺れる
『私ね、さっきの背の高い人と
付き合ってるの』
『…拓也さんって言うんだ』
『とってもとっても優しい人』
…あなたと同じで優しくて、
あなたと同じで温かい人
…雨に脅えてる
私をもう一度連れ出してくれた人
『演技もしていてね？すごい人なんだよ〜』
私には充分すぎる人
私には眩しすぎる人
『…ごめんね、下ばっかり見てて』
…昔、“彼”が言った言葉
�牋鼎させ�ちの時ほど、上を向こう！そしたらきっと、雨上がりには虹がかかるから──��
…下ばかり見すぎて、
私は水溜まりばかり見ていたみたい
曇天で、土砂降りで
…冷たい雨ばかり見ていたみたい
『…本当だったよ』
…貴方の言っていた通り
『勇気を出して上を見て見たら、そこには虹が見えてた。…お日様が輝いていたよ』
…上を見れば、いつも江口さんが笑ってくれた
…いつも私に傘をさしてくれた
『…見守ってくれてありがとう』
『…愛してくれて、ありがとう』
そう、“彼”に語りかければ
甘い甘い金木犀の香りが私を包んだ
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雅 - eriiiさん» eriiiさん、コメントありがとうございます(*^^*)特別編見ていただけたようで嬉しいです。本編もどうぞよろしくお願いいたします(*^^*) (2020年12月29日 23時) (
レス) id: ff32d91f5a (このIDを非表示/違反報告)
eriii(プロフ) - 特別編ほっこりしました(*^^*)でも本編は不穏な流れですねー！今後の展開が気になります！更新頑張って下さい^ ^ (2020年12月28日 23時) (レス) id: 5892b12f93 (このIDを非表示/違反報告)
雅 - サチさん» サチさん、ありがとうございます。遅くなりましたが、季節的な特別編を。宜しければ(*^^*) (2020年12月28日 0時) (レス) id: ff32d91f5a (このIDを非表示/違反報告)
サチ - 沢山の更新お疲れ様です！特別編良いですね(^^)毎回同じコメントになってしまい、すみません。続きが楽しみです。頑張って下さい！ (2020年12月27日 23時) (レス) id: 379e7fdd5e (このIDを非表示/違反報告)
雅 - Aさん» こちらこそ、いつもありがとうございます。コメントいただけてとても嬉しいです。ゆっくりですが、頑張りますね。素敵なコメント、いつもありがとうございます。 (2020年12月27日 22時) (レス) id: ff32d91f5a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雅 | 作成日時：2020年11月23日 22時
