※第44話:特別編 ページ44
『それは…さっき終わったから…』
ゴニョニョと最後の方を濁す彼女
「あのね〜こんな夜中に女の子が1人歩いてちゃダメでしょーが〜…って、あっ！」
持っていたビニール袋の半分の取手を奪われた
『んふふ、はい、半分こ！』
「んねぇ〜、聞いてるぅ？」
『大丈夫、大丈夫、こんな日に一人でいる人なんて少ないし…声掛けないですよ！』
…そうじゃないんだけどなー
なんて思いながら、歩いていると
鼻にぴとっと何かが降ってきた
「…冷たっ」
じゅわりと体温で溶ける
『──あ、雪！』
彼女の声で上を見れば
ふわふわと羽がまうように降り始めた雪
『ホワイトクリスマスですね！』
そういう彼女は
なんだか嬉しそうにマフラーに顔を埋める
「さむ〜早く帰ろっ」
転ばないように、足元に気をつけながら歩く
そんな俺に彼女も静かについてくる
…違うか、うん、違うな
くるっと彼女の方をむく
すると彼女はびっくりした顔
…あ、まつ毛に雪ついてる
そんなことを思いながら
本音は早く家に帰りたい
だったけど…
「ねえ、ちょっと寄り道しない？」
『え？…あっ！』
そう言って再び彼女から、ビニール袋を奪い取って反対側の手に持ち、空いた手で彼女の手を握る
『わっ、…えっ？』
そのまま俺は彼女の手を引きとある場所へ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
…良かった、やっぱり空いてる
さっきの飲もうとした帰りに
歩いてきた通り ある意味見ててよかった
一番人がいない
クリスマスツリーが置いてある公園
時間も時間だから、
もうここにいるのは俺と彼女だけ
小走りできたから、はぁはぁと
呼吸する息が血の味がする
肺に入る空気が冷たい
「…あの、さ…はぁ…はぁ」
『…はい…っはぁはぁ』
お互いに運動不足か呼吸が荒い
「あ、まって、ちょ…た、タンマ」
『…さ、賛成です…』
はぁはぁ、と息を整えると
お互いに目が合って、思わず笑う
『あはは…やだ〜もう、歳ですかね』
「んひひ、ほんと、運動不足やばい」
『…で？
真冬のかけっこしてどうかしました？』
「…あ、いや」
…特にないんだけど
って言うと、またびっくりしたような顔をした
彼女が急に笑い出す
『あはは』
「えー、ちょ、そんな笑う？」
ただ、ただ少しだけ…
日頃の俺なら真っ直ぐ帰るし
正直クリスマスだからって
普通の日と変わらない
だけど、今回くらいはって思って
自分なりに勇気をだして
君を連れ出した真冬の空
「…ただ、ツリーくらいは、って」
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雅 - eriiiさん» eriiiさん、コメントありがとうございます(*^^*)特別編見ていただけたようで嬉しいです。本編もどうぞよろしくお願いいたします(*^^*) (2020年12月29日 23時) (
レス) id: ff32d91f5a (このIDを非表示/違反報告)
eriii(プロフ) - 特別編ほっこりしました(*^^*)でも本編は不穏な流れですねー！今後の展開が気になります！更新頑張って下さい^ ^ (2020年12月28日 23時) (レス) id: 5892b12f93 (このIDを非表示/違反報告)
雅 - サチさん» サチさん、ありがとうございます。遅くなりましたが、季節的な特別編を。宜しければ(*^^*) (2020年12月28日 0時) (レス) id: ff32d91f5a (このIDを非表示/違反報告)
サチ - 沢山の更新お疲れ様です！特別編良いですね(^^)毎回同じコメントになってしまい、すみません。続きが楽しみです。頑張って下さい！ (2020年12月27日 23時) (レス) id: 379e7fdd5e (このIDを非表示/違反報告)
雅 - Aさん» こちらこそ、いつもありがとうございます。コメントいただけてとても嬉しいです。ゆっくりですが、頑張りますね。素敵なコメント、いつもありがとうございます。 (2020年12月27日 22時) (レス) id: ff32d91f5a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雅 | 作成日時：2020年11月23日 22時
