三月うさぎのアフタヌーンメモリーズ

第36話 ページ36

あれから少し経って、とあるイベントの日のこと。宏太朗が、打ち合わせ終わって休憩時に、真っ直ぐこちらへ向かってきた

「パイセン！」

「え、なに」

「…どうだったんですか」

「え、なにが？」

「…男の影は！」

あー、暫く現場違かったからすっかり忘れてた

気になって8時間しか寝れなかった！という
宏太朗 いや、それ普通に寝てるから

「あー、あれ、勘違い」

「…はい？」

「俺の勘違いだった」

「え？つまり？」

「雫がそんなことするわけないじゃん」

そう言うと、一瞬なんとも微妙な顔をする宏太朗

「でも、よかったじゃないですか〜」

「ねぇ、今ちょっと落ち込んだだろ、お前」

「え？何言ってるんですか？」

「あわよくば別れないかなーって
思っただろ、今」

「そんなことないですよ？やだなぁ〜」

僕がそんなこと思うわけないじゃないですか〜って笑う

「そう？」

「僕は、ただ、ワンチャン別れたらパイセンからとるより楽だなーって」

「…それだよ！？思ってんじゃねえーか！」

ははははって笑って、冗談ですよって言う

「まぁ、何処の馬の骨か分からんやつにとられるくらいなら、パイセンがいいですし」

「ん〜？なんだろう…
なんて返したらいい、俺？笑」

「でも、なにが原因だったんですか？」

「あー、それは…」

事情を説明したら、リア充爆発しろです〜なんて、笑顔で言われた。あいつ、相変わらず俺の事、なんだと思ってるの？笑

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イベントが始まり、お渡し会へ

ファンの子がズラリと並ぶ中、発売されたDVDを渡していく 俺がDVDで、宏太朗がそれに付く特典を渡す。渡す際に、サインをして渡すこととなっていた。人数も抽選で当たった方のみで、約100人程度。

さぁ、頑張るぞー

次々とサインを書いたり、
会話をしたりしていく
うん、順調

「はい、次の方〜」

スタッフの声と共に
次に並んでいた人が入ってきた


「DVDお買い上げ、ありがとうござ…」

思わず、入ってきた人を見て言葉がつまった

だってそれは、よく知っている人だったから

…雫！？

「…ありがとうございます」

まさか、こんな時に会うとは…
てか、申し込んでたイベってこれ！？

スタッフが見ているこの状況
すぐさま切り替え、初対面のように振舞った

「えっと、なんて書きます？」

自分のサインを描きつつ、なんて入れるかを聞く

『では…雫さんへ、で』

「はーい」

内心笑いをこらえるのを必死だった

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