三月うさぎのアフタヌーンメモリーズ

第21話 ページ21

｢随分と買いましたね…｣

ざっと見る限り…10近くはある

｢店の棚にあったやつ全部買ってきた｣

まじかァ

｢でもなんでまた。1冊で良くないですか？
多くても3冊とか｣

｢分かってないなぁ〜宏太朗｣

分かりません、全く

｢…なんか分からんが使命感？｣

まさかの理由が曖昧だったーー！！

｢雫載るなら買わなきゃじゃん？｣

…だから、3冊で良かったのでは？

｢それに…なんか他の人に買われるの嫌やん？｣

と、突然のヤンデレー！？

宏太朗にもあげる〜って1冊受け取る

…あ、僕はいいんだ じゃあ、遠慮なく

そう1冊受け取り何気なくパラパラと見る

｢…｣ ｢…｣

2人して無言で雑誌を見る

へぇ〜あそこの駅前にこんなオシャレなとこあるんだー！今度行ってみよ〜


カシャカシャカシャカシャカシャカシャッ

うわっ、うるさぁ〜 いや、なになに〜？

ちらりと隣を見る

無言でスマホで雑誌を撮るパイセン…
しかも、そのページは先程と一切変わっておらず、彼女の特集ページ

うわぁぁぁ！！愛が重い！重すぎる！！

｢パイセン？！パイセン！？｣

思わず止める

｢ん？なに？｣

｢パイセン、それ撮ってどうするんですか…｣

｢え、見るけど？｣

｢…いやいやいや、ダメですからね！？
雑誌撮影は！立派な禁止事項！！｣

｢うん、別にあげないよ？俺が見て楽しむだけ｣

※良い子は真似しないでね。

｢…そ、そうですか…。でも、買ったのあるじゃないですか。こんなに｣

｢うん、でもほら、持ち運び大変じゃん？｣

…データで残すタイプだったー！！！

｢じゃ、じゃあ…電子版買えば…｣

あ、その手があったか！みたいな顔した後、
すぐさま購入しているパイセン

…愛は人を変えると言いますが、
まさかここまでとは…

そんなことを思いながら、
ペラリと雑誌をめくると…

…あ、雫ちゃん

そこには可愛らしく微笑む彼女のページ

…いや、うん、まぁ…

これは…可愛いかもしれない…

｢…このカメラマンさん天才じゃない？
チップあげたい｣

なんてブツブツ言ってオタク全開なパイセンを横目に彼女のページをじっくり読む

へぇ…ふーん…そうなんだぁ

みながら、そっとお茶を1口

｢あ、宏太朗｣

お茶をまだ含んだままだったので、
んん？(はい？)とこたえた

｢やっぱそれ、買い取ったらあげる｣

と、パイセン

｢え！？くれるんじゃないですか？｣

｢だって宏太朗…｣
｢はい？｣

｢雫のこと好きでしょ｣

お茶が気管に詰まるかと思った

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