三月うさぎのアフタヌーンメモリーズ

第20話 ページ20

都内某スタジオにて…

僕は、月一生放送ラジオの収録に来ていた

まだ始まるまで時間があるので、
楽屋のソファーに座りながら本日の流れを確認する

今日の生放送も波乱が起きそうだな〜
なんて、台本とゲストを見ながら
ワクワクドキドキ

小腹が空いてきたので置いてあった
チョコレートに手をつけた

ガチャリッ

楽屋のドアが開く

…あっ

｢…うっす｣

気だるそうに入ってきた高身長の男

｢あ、パイセンお疲れ様ですー｣

また、髪色変わってるよ

前の収録があったのか、
少しばかり疲れた顔をしていた
僕のパイセン 江口さん

｢…あ、宏太朗お疲れ〜｣

いつにも増してローテンション
まぁ、このあとお酒飲みながらの
生放送だから、本番は心配ないだろうけど…

ん？

両手に紙袋を引っさげてやってきたパイセン

｢なんですか？それ｣

あ〜…重かったって低い声で呟きながら
僕の隣の席に座る

｢ん？これ？雑誌｣

ちらりと紙袋の中を覗くと、数冊の雑誌が

｢…わぁ、これまた沢山｣

パイセンが雑誌？ファンション誌かな？
なんて思いながら、読み始めるパイセンの横でチョコレートを食べる

……あれ、違う カフェ、スイーツ特集？

あまりにも見当違いで思わず2度見する

｢え、珍しいですね、パイセン｣

｢ん〜｣

相槌なのか、唸っているのか…
なんとも微妙な声を上げた

ペラッ

見ているのか見ていないのか分からない
スピードでページを次々めくっていく

あ、そこのスイーツ気になって…
あ、次のページいっちゃった…

その繰り返し

すると真ん中までいったところで
手が止まる

真剣に読み始めるパイセン

なになに？そんなに気になるのあったの？
そう思い、チョコレートをまた1口食べながらこっそりと横から覗いた

……あ〜なるほど

ちらりと見ると、そのページに身に覚えの店が

…雫ちゃんの店ね

台本を読む時並に真剣に読むパイセン

よくよく見ると、オーナーのコメントと写真が…

｢えっえっ！雫ちゃん？｣

思わず声が出た

｢そそ｣

写真には可愛らしく写る彼女が…

タイトルには若くして美人オーナー…
なんちゃらかんちゃら…書いてある

ん〜ってまた唸り出すパイセン

｢…可愛い｣

すっごい小さい声で、すっごい低い声で
ぼそっと呟く

…え、まさか

｢パイセン…まさか、これ全部同じ雑誌ですか？｣

｢うん、そうだけど？｣

｢え、まさか雫ちゃんのため？｣

｢うん、写真載るって言うから｣


……愛が重い！！！重すぎる！！

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