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第11話 ページ11

モフモフと漫画だったら音がつきそうなくらい
モフモフのマフラーで口元まで顔を覆う彼女

先程、冬毛になった雀みたいだなぁと思ったが
あらためて隣を歩く彼女を見ると小動物みたいでなんだか可愛らしい

「…もういいの?」

色んな意味を込めて彼女に聞いた

『えぇ、大丈夫ですよ』

そういう彼女の“大丈夫”も
色んな意味を込めているような気がした


日が先程よりも落ちてきて、
ヒヤリと空気が冷え込んできた

山奥にあるということもあり、
日頃都会に住んでる気温よりかなり寒い

平日の昼、そして都会から随分離れていることもあり、歩いている人も少ない

…なんとものんびりしている気分だ

都会と比べてせかせかと生きることも無く、
時間を気にすることも無い
そして、昼間からだけど人の目を気にすることもなかった

彼女と2人、駅に向かうため
来た道を帰る

途中銀杏の並木道があったので、
少しだけ俺も彼女も歩く歩幅が狭くなった

『わぁ〜綺麗ですね』

って彼女は言う

来る時は特に気にせず来た道も
帰る時にはなんだか輝いて見えた

道一面に黄色く輝く銀杏が沢山落ちていた

…まるで─────

『なんだか黄色い絨毯みたい』

って彼女が呟くから思わず驚いた

だって同じことを思っていたから

『…?どうかしました?』

「いや、別に」

『え〜?怪しいなぁ』

思わず笑みがこぼれた

彼女が見ている景色を
俺も見ているんだなってそう思えたから

『あ〜でも、江口さん的にはレッドカーペットがいいかな?』

「え〜?じゃあ、紅葉並木を探さなきゃね」

『それはそれで綺麗そうですね』

なんて他愛もない会話をしながら駅に向かう

そんな舞い散る銀杏を見ていると、
隣に歩く彼女の手をそっと握った

驚く彼女

『どうかしました?』

「う〜ん?」

俺から迷わず手を握るなんて、
って言いたそうなそんな顔

「秘密〜」

『ええ〜また秘密ですか?』

って話しながら笑い合う

…だって少しだけ不安になったんだ

これはきっと秋のせい
秋はなんだか切なくなるから

これはきっと秋のせい

千枚…いや、もっと沢山の銀杏をみていたら
君がどこかに行ってしまいそうで
君がどこかにこのまま消えてしまいそうで

そう思ってしまったから

これは秋のいたずらで

だから俺は、君を見失わないように
君が消えてしまわないように

ただそっと手を握った──────

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設定タグ:江口拓也 , 声優   
作品ジャンル:恋愛
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- eriiiさん» eriiiさん、コメントありがとうございます(*^^*)特別編見ていただけたようで嬉しいです。本編もどうぞよろしくお願いいたします(*^^*) (2020年12月29日 23時) (レス) id: ff32d91f5a (このIDを非表示/違反報告)
eriii(プロフ) - 特別編ほっこりしました(*^^*)でも本編は不穏な流れですねー!今後の展開が気になります!更新頑張って下さい^ ^ (2020年12月28日 23時) (レス) id: 5892b12f93 (このIDを非表示/違反報告)
- サチさん» サチさん、ありがとうございます。遅くなりましたが、季節的な特別編を。宜しければ(*^^*) (2020年12月28日 0時) (レス) id: ff32d91f5a (このIDを非表示/違反報告)
サチ - 沢山の更新お疲れ様です!特別編良いですね(^^)毎回同じコメントになってしまい、すみません。続きが楽しみです。頑張って下さい! (2020年12月27日 23時) (レス) id: 379e7fdd5e (このIDを非表示/違反報告)
- Aさん» こちらこそ、いつもありがとうございます。コメントいただけてとても嬉しいです。ゆっくりですが、頑張りますね。素敵なコメント、いつもありがとうございます。 (2020年12月27日 22時) (レス) id: ff32d91f5a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年11月23日 22時

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