【d！】翡翠を見つめて (ページ18)

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コンコン

家のドアがノックされる。母さんは料理中で出られなかったので、父さんがドアを開けた。

｢はい、どなたでしょうか。｣

｢お前が例の薬を作ってる医者だな？｣

｢…は、なぜ、それを、ｯｸﾞｯ｣

何が起きたか分からなかった。知らない男の人が父さんと話してると思えば、父さんはいきなりお腹を抑えて蹲った。

｢…アンナ!!A!!ハルタ!!逃げろ!!｣

｢カイ！…ッ、A、ハルタ、逃げるわよ｣

『なんで、？父さんは？』

｢父さん、どうしたの、？なんでこっち来ないの、？｣

父さんの周りは赤く染まっていて、ほとんど動かなかった。
母さんは私とハルタの腕を引っ張って裏口から出ようとする。

｢逃がすわけないだろう。｣

振り返ると男が拳銃を私に向けていて、今にも引き金を引こうとしていた。

｢A!!!!｣

ﾊﾟｧﾝ

銃声が響くと目の前でドサッと何かが倒れる音がした。

『かあ、さん、？』

嫌でも理解してしまった。母さんが死んだ。私を庇って。父さんも死んだ。もう私とハルタの2人ぼっちだ。

｢…ねぇちゃん、｣

ハルタが私の手を握る。2人とも手が震えていた。

｢お前らは連れてこいとの命令だ。大人しく寝ていろ。｣

首に衝撃が走り視界は暗転した。