来年の事を言えば鬼が笑う

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「あとは素直な子とか･･･？でもわかんねー。俺男を可愛いとかあんま思わねーし」


二階堂が降参だと言うように、目の前の用紙に目を戻す


「んー、俺はミツ可愛いと思うけどなー」
「･･･へ？」
「俺が女ならミツに惚れると思う」
「それって可愛いというか、かっこいいって思ってくれてるってことだろ」
「あー、ミツ自分のことカッコイイだなんて言っちゃうんだー、」
「･･･可愛いよりカッコイイ系だろ！俺は！」
「ミツは可愛いーよ？」


いや、お前のが可愛いよ、とは言うのをやめた
ファンの子だって玉ちゃんの可愛さには弱いし
もちろんカッコ良さにも弱いんだけど。いや、弱いというか甘いのか、


そんな玉森に言われても説得力がないっつーか
たいすけはきっと玉ちゃんみたいな人を好きなんだろう･･･な、
柔らかくて･･･ふわっとしてて癒し系なのに、しっかりもしてる


そんな可愛い人、


胸が痛む。心の奥が、ずきっと
藤ヶ谷を想って胸が痛いことはよくあったけど
今考えてたのは"たいすけ"だった
本当に･･･疑似恋愛を現実世界に持ってきてしまっている....



疑似恋愛でも現実の恋愛でも失恋している自分



藤ヶ谷は俺がどんな帽子を持っていようと･･･被っていようときっと気にもしないし、知りもしない。



「おはよー。」


聞きなれた色気たっぷりの声が耳に届き、開いたドアの先を見ると、藤ヶ谷が眠たそうに入ってきていて眼鏡と鞄をテーブルの上に置き、椅子に座る。
それを横目で盗み見ると珍しくあくびをしていた


･･･昨日、彼女と熱い夜を過ごした･･･のか
どす黒い嫉妬心が湧き出てくるのを何とか原稿用紙を見て紛らわした


すると、開いたドアの先には藤ヶ谷以外にも人がいたようで続けて横尾さんが入ってきた
･･･二人は似たような眼鏡をしてる


思わずため息がこぼれそうになる


たいすけにメールしたい


現実逃避をしたくなる


「おはよー。あれ、二人一緒に来たの？」
「いや、偶然そこで会って」


･･･偶然なのか。
良かった.....二人で朝帰りではないんだ、と
盗み聞きした言葉に一々胸を撫で下ろす



「太輔、あれから無事帰れた？」
「帰れた帰れた。昨日はありがと、わた」
「いや、遅くなったしちょっとお前飲みすぎてから少し心配してた」



･･･これは決して盗み聞きではない
勝手に聞こえてくる会話。
なぜなら二人は普通の声量で話していてここはそんなに大きくない控え室だから聞くなという方が無理な話だった

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