来年の事を言えば鬼が笑う

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『･･･俺は、たいすけをその人にとられたくない。告白しないで。･･･たいすけが、好き。』


･･･届いたメッセージ。
･･･バカなのか？北山は。
なに、他のやつ好きになってんだよ！いや！俺だけど！！！
いや、でも俺だと"ひろ"は気付いてねーし！
気が多いにも程がある！
お前はずっと俺のことが好きなんじゃなかったのかよ！


何度も気付いて貰えるように、北山のその日の気分や態度を"たいすけ"を通じ"ひろ"に送り、食事に行ったことも、わかりやすく伝え、今日のデートだって。ことわざだって、最後のメッセージとばかりに送った。


こんなに送って、気づかないなんて、バカなのか？
それとも、本当は"ひろ"は北山ではなく、俺の勘違い？いや。どう考えてもそれはない。
俺が北山以外にときめいたり好きになるなんて絶対に有り得ないんだから。


思わず怒りが沸点に達し、送ってしまったメッセージ。


『ふざけんな。浮気者！』


･･･俺以外を好きになるなんて、心奪われてるなんてなんなの、ホント。
当たり前のように両想いになって恋人同士になれると思い描いていた自分がばかみてー。


ここまで鈍感だとはさすがに読んでいなかった、俺の敗因か？



ひろえ、浮気者ってどういうこと?



まだ分かってないお前に、制裁だ。
直接告(い)おうと思っていたけど
かっこよく伝えようと思っていたけど。


来年のことを言えば鬼が笑う


未来なんて、思い通りにはいかないみたいだ。



たいすけ北山は、俺が･･･藤ヶ谷 太輔が好きなんだろ。何他のやつを好きになってんだよ



一世一代の告白を
メッセージで告げてやる。
罵られたとしても。



たいすけ俺は北山が好きだよ。愛してる。ずっとずっと前から



今頃、風呂でスマホ落としたりしてないかな？



「ぎゃー！！！！スマホ落とした！！！！」



そう思った瞬間、聞こえてきた叫び声



もう、ホント。
愛しすぎる。


カッコつけて、金を出したがるくせに、
男くさいくせに。


なんで、こんなにも可愛いんだろう。
愛しいんだろう。


君はきっと、バスタオル一枚で駆けつけてくるんだろう。


まだ、理解していない


『どういうこと！？』って大声で。
たいして水滴を拭くこともせず、ベタベタなまま。



「どういうこと！？」


ほら、きた。
目を見開きくりくりさせながら



「北山を愛してるってこと」


北山はそう告げてもまだ分かっていないようで苦笑いをしていた。

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