来年の事を言えば鬼が笑う

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"北山と行きたかったの"


その可愛さに思わず、色んなものが反応してしまいそうになりスマホを片手にトイレへと駆け込み離席していた…


卑怯だろっ！
あの可愛さ！
反応してしまいそうになるヒロミツを個室で抑える


ー･･･〜可愛いなぁ…


気を紛らわすために
スマホを手にとると
ちょうどアプリにメッセージが届いた



たいすけ今、好きな人と食事に来てる


そのメッセージを開き、一瞬でヒロミツはおさまり萎えていく。


藤ヶ谷でいっぱいだった頭の中がたいすけで埋まっていく。
･･･気が多いのかもしれない。
何で、こんなにもたいすけが気になるんだろう
傷ついてるんだろう


･･･たいすけも好きな人と飯行ってるんだ.....
そんなとこまで一緒じゃなくてもいいのに。



たいすけ美味しそうに焼き鳥食べてて可愛い



･･･はぁ〜焼き鳥まで一緒なんて
神様は意地悪だ･･･


たいすけ、たいすけ･･･


ひろ良かったな。たいすけが幸せになるのを願ってるわ



そう返すと、テンションが下がっていく
用も済ませず、そのまま個室を出て、手だけは洗い飯の席へと戻っていく。
その個室の襖をゆっくり開けていくと
斜め後ろから見える藤ヶ谷の様子


スマホを片手に、優しく微笑んでいた



・・・・・


もういい歳だし、恋なんかで傷つきたくない
今更もう、傷つきたくない




･･･お前をそんな表情にさせてるのは誰？


そんな瞳で画面を見つめて


その瞳の先には画面の奥には


誰がいる？



誰を見てる？


唇に浮かべてる笑み
口角を上げ、愛しそうに見つめる相手は


誰？



「あー、北山。おかえり。大丈夫？駆け込んでいったけど」
「はははっ。わりぃわりぃ。ちょっと腹が」
「え、大丈夫なの？」
「おう！もう大丈夫！食べよーぜ」



藤ヶ谷には、愛しく思う相手がいる
そう思う相手がいる


彼女･･･？
それとも片想いの相手？
もしかして･･･マリウス･･･？
それとも横尾さん？


見えない相手に嫉妬し、落ち込み、ばかみてー。


男らしくもない。


俺が、藤ヶ谷やたいすけを想うように
藤ヶ谷やたいすけも別に想う人がいる


ただ、それだけなのに。



「わりぃ。藤ヶ谷、もう一杯飲んでいい？」
「いいよ。責任もって送るから。タクシーだけど」



店員さんに、生をもう一杯頼み、届いたそれを年甲斐もなくイッキ飲みした。


喉越しに感じるそれが心までうるおして
少しすーっとさせてくれた

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