来年の事を言えば鬼が笑う

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たいすけひろって呼んでもいいですか?
ひろもちろん。僕はたいすけって呼んでもいいですか?
たいすけ是非!今日はお仕事ですか?
ひろ仕事です。･･･お互いを想い人だと思うなら仕事は伏せた方がいいのかな?
たいすけそーですね、でも全部似せるのは無理なので、そこは素でいきませんか?
ひろ確かに。たいすけさんは幼稚園の先生なんですか?


たいすけさんのプロフィールは幼稚園の先生となっていて、それはあいつの夢でもあった
･･･なんかまるで本当に藤ヶ谷とメッセージをやりとりしているように感じてしまう。んな訳ないのに


藤ヶ谷を盗み見ると少し柔らかい表情でスマホを触っていた･･･、彼女か？


そんな表情をさせている知らない相手にまで苛立ってくる


たいすけそうです!今は夏休みで時間がゆっくりと経っていて、今日は有給でお休みです
ひろ有給いいなー。俺は仕事なんですよ


一人称を変えたし、敬語も止めたいな･･･
年代しか分からないから、相手は年上かもしれないし勝手にはやめられない･･･けど



たいすけお疲れ様です!ひろさんっておいくつですか?もしよければ、敬語やめませんか?


以心伝心のように送られてきたメッセージにああ、この人を好きになるかもと不覚にも思ってしまった
そんなことを感じたのは十何年も藤ヶ谷だけだったのに
俺は"たいすけ"という名前の人に弱いのだろうか？



ひろ俺も思ってました!「さん」もナシで
たいすけ了解です!


「みつー、メイクだって」


たいすけとのメッセージのやりとりに夢中になって
背後からきた二階堂に気づけず、咄嗟に不自然にスマホの画面を隠す


「え、何そんなに必死に隠してんの？みつのスケベー」
「な、ちげーよ！行くから先行ってろ！」


二階堂にしっしっと手を振ると唇を尖らせ楽屋を出ていった


俺も行かないと



みつすみません、取り引き先に行くのでまた連絡します


そう返してスマホをカバンにしまう



「太輔も準備だって」


いつの間に来たのか横尾さんが藤ヶ谷の元へ行くと藤ヶ谷はスマホを伏せ満面の笑みを横尾さんに向ける



「あ、わた。充電器持ってる？」
「え？」
「充電しときたいんだけど」
「あー、あるけど」



朝からスマホの電池を気にする藤ヶ谷に胸が痛くなるのは気付かない振りをした

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