来年の事を言えば鬼が笑う

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そして、俺はツレに聞いた仕事内容を自分のことのようにたいすけに話してる。架空の話にも関わらずたいすけはきちんと返してくれるから、少し胸は痛むけどそんなやりとりが幸せだった。


まるで本当にそこに"ひろ"と言う存在があるようで。自分なのに、どこか"ひろ"を演じてる部分もあったのかもしれない。


局について、挨拶回りをして収録に挑んだ
浮き沈みがある自分の感性をツッコまれたりして何とか楽しく無事に収録を終えることができた


時刻は夕方を過ぎ夜になっていて
楽屋につくとまず一番に鞄からスマホを取り出していた


･･･まるでスマホ依存症みたいな自分に嫌気はさすが確認をせずにはいられなかった


ロックを解除すると
アプリに通知が1件


たった、それだけで泣きそうになってしまった弱い自分が顔を出す


会ったこともない、顔も知らない


でも、でも、でも


俺は"たいすけ"が･･･好きかもしれない



たいすけひろの好きな人も可愛いんだ?一緒だ!何か嬉しい!

たいすけそして、もうひとつ嬉しいというか、ビックリしたことが!俺の好きな人も今日職場に新しい帽子を持ってきてた!思わず、ひろのこと思い出したよ


いや、好きかもしれない、じゃない。
好きだーー･･･


だって、嫉妬してる


たいすけの好きなやつに。好きな人に。



同じタイミングで新しい帽子とか･･･
本当やめて欲しい


それでも、たいすけが俺の･･･"ひろ"のことを思い出してくれたのは嬉しい


複雑な恋心だった…
この気持ちで一句詠めそうなぐらいに


たいすけは、新しい帽子を被ってきてることに気づくぐらいそいつのことが好きなんだ


玉森が言っていた


『･･･覚えないと思うけど。いつも使ってるものなら覚えるかもしれないけど』


こと。いつも使ってるものじゃなくて
新しいものに気づく。初めてのものに気づく、それはたいすけがその人のことを本気で好きな証



･･･そばにいるその想い人に疑似恋愛･･･のましてや会ったこともない俺が勝てるはずがない



ひろそうなんだ!その人が新しい帽子って言ってたの?


たいすけお疲れ様!違うよ。俺が盗み見たの。あー、初めて見る帽子だって、気づいただけだよ。中々その人とは話せないから･･･




返事をしたあと、マンションに帰りスマホを見るとそう返ってきていた。



盗み見て、気づくぐらい･･･そいつが好きなんだな....

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