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その日はそのまま、つまり総統様とは一言も交わすことなく自室に戻った。総統様が同席する夕食中もぼんやりしていて両隣にお座りになったトントン様、コネシマさんがわたわたとしていた。
｢……A？食べへんの？｣
｢一向にお箸が進んどらん…………もしかして体調悪いんか？｣
｢、いえ、大丈夫です。その、すみません、少しぼんやりして……｣
我に返った私が謝って箸を持ち上げるのを見ながら今度はコネシマさんが箸を置く。それから少しばかり考える素振りを見せて推理し始める。彼はなにかに気づいたようで
｢帰ってきてからやんな？やっぱ家がええ？｣
俺にはわからんけど、と付け加えながら私の顔を覗き込む。家、自宅は一人で______確かに落ち着く場所ではあるが、今この場が嫌とかむしろ楽しいのでそれを口に出そうとすれば
｢シッマ、お前お口がお留守やで｣
｢んんむぐむぐぐ？！？！｣
ゾムさんが遮るようにコネシマさんの口に唐揚げを突っ込んでいた。当の本人はこちらに一瞬目を向けてまた楽しそうに唐揚げを持ち上げている。
その瞳が｢任せておけ｣と言わんばかりに輝いていたのでおそらく気を回してくれたのだな、と察する。後でお礼を言わなくっちゃ、とまた食事に手をつけるのに遠くの方から総統様の声が聞こえて胸の奥がぐっ、と押される感覚がしてそれが苦しかった。
何とかお皿にとって、尚且つ心配されないだけの食べものを喉の向こうへと流してご馳走様でした、と席を立つ。
｢あ、待ってAさん。俺送って行きますよ。｣
｢え、ショッピくん、ご飯はもういいんですか？｣
｢えぇ、食べました。今日はあんま身体動かしてないし、これ以上食べても明日に影響するんで。｣
｢……なるほど。じゃあ、お願いします。｣
つまりだ。彼の右隣はゾムさんだったので彼のあの｢食害｣と呼ばれる行為から逃れたいのだということらしい。何となく察して首肯すれば、行きましょと手を引かれる。そのまま食堂を後にして今現在に至る。
ゾムさんに庇われ、ショッピくんに手を引かれる私を総統様が見ていたとは知らずに。
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作者名：こゆき | 作成日時：2019年9月16日 18時
