【実ｼ兄者】シンデレラ・ストーリーⅡ【d!】 (ページ41)

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Her secret ページ41

彼女の瞳は動揺で満ちていた。
今でも思い出す度にそうなるということは、当時幼かったであろう彼女には大きな負担になったのだろう。

好きな女が自分のことを忘れているだなんて信じられるだろうか。まあ彼女は現に覚えていないようで何となく殻にこもっているような対応をしている。それでもふとした仕草、とまでは行かないが当時の彼女を思い出させる所が多々あって、俺はそれを見る度に胸の奥が苦しくなってくる。どうにかして俺のものになってはくれないだろうか。

俺が催促して無理矢理彼女の口を無理やりこじ開ける。正しいかどうかわからない。現に彼女はかなり躊躇して戸惑った。でも俺はそれが聞きたいのだ。
彼女は胸元に下がるペンダントに触れてゆっくりと口を開いた。

｢私には秘密がございます。それは、その……他人の心の声が聞こえてしまう、というものです。｣

彼女は俯いたままでそう言う。顔を上げるつもりは無いらしくそのまま続ける。

｢物心つく前からそういう事が不規則に起こっていて、世の中の常識も何もわからぬままとある友人にうっかり喋ってしまって、それで、その、｣

思ったよりすらすらと言い連ねた彼女が｢とある友人｣と口に出した途端酷く顔色を悪くしてしまう。それから言葉にも詰まっていって少し息が上がっているように見えた。俺はすかさず彼女の手を握って彼女を落ち着かせる。大丈夫だ、だのゆっくり息を吐くように促すなどして在り来りな言動を連ねた。彼女は次第に落ち着きを取り戻していたが、やはりかなり堪えたらしかった。

｢彼、彼は私に気持ち悪いと言ったようなことを言ったんだと思います。それが凄く、ショックで。私その日の前後の記憶とそれ以前の記憶があいまいになってしまってて。、、ごめんなさい。｣

彼女の肩は小さく震えている。話し始めてからこちらの方を見ないしそのせいで目も合わない。俺が聞き出したのに後ろめたく思っているようだった。

俺は、そんな彼女の顎を持ち上げて言い放つ。