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お茶会がお開きになり、私はオスマンさんの部屋を出ようとする。そこでちょっと待って、と呼び止められて
｢お願いがあるんだけど、いいかな｣
と言われる。オスマンさんの手にはお盆があり、そこには新しいティーポットとカップがふたつ並べられていて、横には同じようにふたつお菓子が置いてある。
｢これ、トントンとグルッペンのところに持っていってあげて欲しいんよ｣
と言う。私は二つ返事で頷いてお盆を預かる。両手が塞がるから気をつけるように言われる。私はそっと部屋を出て、ふたりは総統執務室にいるよ、と言われたのでそちらへ向かった。
総統室まで歩いていると、待って待ってと声をかけられるので振り向くと鬱さんがこちらへ駆け寄る。
｢Aちゃん〜よかったわ、気付いてくれて。そんなの持って今からお茶でもするん？｣
と聞かれたのでオスマンさんにお使いを頼まれたという旨を話せば、
｢あ〜なるほど、差し入れかぁ｣
と妙に腑に落ちた顔をなさってそれじゃ扉開けられないでしょ、と一緒に来てくれることになった。道中私は何を話していいかわからず俯いていれば
｢……僕のこと警戒してます？｣
と言われて跳ねるように顔を上げてそうじゃないです、と口を開く。
｢そうじゃなくて、その……私人見知りなので、何を話していいか分からなくて……それに、お昼断ってごめんなさい｣
そう訂正して頭を下げた。それに鬱さんは
｢ええんよ、それは。それより気が回らんでごめん。あんなにしっかり自己紹介してくれたもんだから、人見知りなんて思わんかったわ。せやったら色々困らせるようなこと言ってごめんな｣
首の後ろに手をやって、眉を八の字にしながら謝る鬱さんに大丈夫です、と返せばホッ、と笑う。
｢嫌われたかと思った｣
なんて言うので簡単に嫌いとは言えません、と言ってみせれば君がええ子でよかった、と爽やかに笑うのでつられて私も笑ってしまうのだった。
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作者名：こゆき | 作成日時：2019年9月16日 18時
