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｢……今度からAに頼んで書類回してもらお……｣
トントン様が隣で効果音がつきそうなほどキラキラした声を零してありがとう、と仰る。私はそれに首を振って
｢そのようなことであればいつでもお任せ下さい｣
と言い、食事を終えた。畑で取れたであろうトマトが瑞々しくて良く熟れていて美味しかった。
･
｢せや、Aちゃん、お昼暇？｣
｢はい、空いております。｣
｢良かったら一緒にお茶会せえへん？｣
｢おちゃ、かい｣
｢そー、エミさんと俺と。｣
自室でメイクを確認して廊下に出るとオスマン様とエーミール様がいらっしゃって少し談笑していた。そうそう、とオスマン様がぽん、と手を叩いてお茶会のお誘いを頂く。
｢Aちゃんの話聞きたいなあ｣
｢私が紅茶をご用意しましょう｣
｢私……いいんですか？｣
｢うん、来て？｣
｢……ではご一緒させていただきますね｣
もしかして、お二人でなにか大事なお話をなさるのかと思い遠慮しようと口を開いた時、オスマン様が見越したように仰るのでここはお話に甘えさせていただくことにした。
お茶会はいつもオスマン様の執務室にあるバルコニーでなさるらしい。外交官執務室に向かう最中、オスマン様なら総統様のこと何か知っていらっしゃるかな、と思い
｢あの、オスマン様。総統様は、その｣
と言うと、オスマン様は
｢あー、あいつは昨日から執務室篭もりっぱなし。お茶会も顔出さんっていうし多分、溜まっとる書類でもやっとんちゃうかな。トントンも後で様子見に行くって言ってためう｣
と仰る。トントン様になんて苦労人なんだ、とまた思いを馳せる。総統様と少しお話がしたかったのだが……お邪魔してしまうのもなんだか違う気がしてすこしまたもやもやする。
そんなこんなで外交官執務室へと到着しどうぞー、とオスマン様が扉を開けてくださるので私は失礼します、と言って中に入る。部屋は白を基調に所々に深緑が散りばめられた爽やかな印象だった。ドアの正面に執務用の机があって右手に広く空間がある。そこには来賓用と思われるテーブルにソファがあった。執務用の机の向こう側には、広めのバルコニーがありお庭が広がっていた。
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作者名：こゆき | 作成日時：2019年9月16日 18時
