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｢ゾムのお世話、手馴れてきたね。｣
ゾムさんを送り届けて庭に戻るとらんらん様が移植するんだ、と土いじりをしてらっしゃった。私も手伝います、としゃがんで軍手をつけていると眩しい笑顔でそう言われた。
｢……お世話｣
｢うん。ゾムは気に入った人にすぐ懐くから。なんか犬みたい。｣
｢犬、……分からなくもないような｣
｢そうそう。あー、でもゾムとAは姉弟って感じ。｣
｢そう見えますか？｣
｢うん。良く面倒見てくれてありがとう。あいつ喜んでると思うよ。｣
｢そうだといいんですが。私、兄弟がいなかったのでゾムさんが、その、可愛くて｣
｢あ〜分かるかも、そういうの。俺もいまA可愛いもん。｣
｢へ？｣
｢妹みたい。｣
可愛い、の言葉に驚いて顔を上げる。日差しが少し強くて滲んだ汗を拭っていた途中だったのだが、らんらん様はふふ、と笑ってタオルを引っ張って私の頬を拭う。ひらり、と自然な仕草でヴェールをずらされるので少し驚くが頭が正常に仕事をしているので情けない声を出さずに済んだ。
｢そこで拭いたら土がついちゃうよ。｣
拭き終わったらんらん様はまた楽しそうに土いじりに勤しみ始めた。私は妹、の言葉に少し嬉しくなった。
･
さてお昼前、片付けや掃除それから手なんかを濯いで食堂へ向かう。途中ショッピくんに出会ってそのまま一緒に行くことになった。その間3人でこんな話をしたのだった。
｢今日はひとらんさんとやったんですね｣
｢はい。沢山見せてもらって｣
｢途中ゾムが顔だして一緒に遊んでたよね｣
｢そうなんです、ゾムさんが遊びたいって言うので｣
｢なんかAさん、ゾムさんに甘いっすね｣
｢……うう、やはりそうでしょうか｣
｢と、言いますと？｣
｢A、ゾムのこと弟みたいに思ってるらしいよ｣
｢あ〜なるほど…………そう言われたら俺もAさんには相当甘いですね。｣
｢うん、だよね。俺もそう｣
｢そんな、いや、でも確かに皆さん本当に優しくて頂いて｣
｢ふふ、みんなAがいい子だから猫可愛がりしてるよね。｣
｢いやほんまにですよ。｣
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作者名：こゆき | 作成日時：2019年9月16日 18時
