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それを聞いたゾムさんは足元の彼に向かって
｢おま、イフリート、お前Aに遊んでもろうてたん？！？！ずるいぞ、お前だけ｣
と叫ぶ。発言に疑問しかない私は首を傾げて、声を出す。
｢ずるい……ことは無いと思うけど｣
｢いーや、ずるい。俺のことも構ってえや。｣
｢……ゾムさんは昨日いっぱいお話したじゃない。｣
｢冷たい……Aが冷たくて泣きそう……｣
｢へ？！泣くほど寂しかったの？！ごめん、泣かないで……うーん、ゾムさんが忙しくないなら一緒に遊ぼう？｣
｢ほんま？遊んでくれるん？｣
｢うん、イフリートと3人で｣
｢おん！遊ぼーや！！！｣
泣いているのかと思い提案したのだが、眼前の彼はけろっと笑い始め私は騙されたことに気がつく。彼は仕事をしていたのではないのだろうか。トントン様の顔がふと思い浮かび嫌な予感がする。
｢……ゾムさん、その前に聞きたいことがあって｣
｢なんや？｣
｢ゾムさん今日お仕事は？｣
｢俺は秘匿部隊って言って工作員みたいなもんやから普段はあんまり……まあ部下のトレーニングとかやしずっと忙しいわけやないで。｣
｢へぇ、そうなんだ。……ちなみにトントン様はなんであんなに……｣
｢……トントンは、書類がいっぱいあって……｣
｢ゾムさんもしかしてだけど書類……｣
｢ちゃうんすよ、A｣
｢何が、違うの？ゾムさん｣
｢……これ遊んだらちゃんとやるやん、｣
フラグというものは回収されるものだ。やはり予感通りゾムさんは書類仕事を終わらせていないようだった。もしかして幹部の皆さんがゾムさんのような感じでトントン様が苦労なさっているのでは、と何となく予想がついてしまう。咎めようとするとゾムさんが子犬のような目で言うのでふう、とため息をつく。これじゃまるで姉と弟だ。そう思うと少しだけ楽しくなってしまう。
｢……じゃあ少しだけね。やったらお部屋まで一緒に行くからね。｣
｢いやぁ、Aはわかってくれるって信じとったで｣
｢どうだか。さ、イフリート遊ぼうか。ゾムさんも遊んでくれるって｣
私はもう一度ため息をついてイフリートに語りかければ、彼は今までにないくらいにしっぽを振ってわん！と吠えた。
ふと誰かの視線を感じて窓を見たけれど何も見えなかった。変わりに一言、『声』が聞こえる。その声は低いバリトンだった。
『……なんやこれ、俺には関係ないやろ』
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作者名：こゆき | 作成日時：2019年9月16日 18時
