59 ページ18
飛び去る小鳥を見送って窓を閉める。
｢隣いい？｣
｢はい、今日はよろしくお願いしますらんらん様｣
｢あ、案内のこと？うん。今日は俺の管轄のとこ見て回ろうね。動物好きならきっと楽しいよ。｣
｢ほんとですか？楽しみです。｣
席についてランラン様とお話をしていると、シャオちゃんの声とゾムさんの声が遠くから聞こえ始める。それにかぶさるようにトントン様の大きな声も上の方から聞こえてくる。
｢おら起きんかい！！｣
｢うわ、この感じ大先生起こしに行ってるな。｣
｢分かるんですか？｣
｢怒鳴り方でね。駄々こねてこうなってんでしょ。｣
｢へえ、トントン様ってやっぱり苦労人って感じが凄いですね。｣
2人してトントン様を思い浮かべて労っていると、朝練からお帰りのゾムさんとシャオちゃんが食堂にやってきた。
｢ふー、いい運動なったな｣
｢これでやっと目が覚めた気ィする｣
｢おはようご、……おはようシャオちゃん｣
｢お、Aや。早起きやな。うんうん。やっぱお役所に務めとるし流石やな。｣
｢いえ、今日はゾm…｣
｢なっ、A！しー！｣
｢……起こして頂きました。ゾムさんに｣
私が事実を口に出そうとするとゾムさんが慌てて止めるので、いたずらのやり返しに全部言い切った。それを聞いてシャオちゃんもらんらん様も戸締りの確認をしてきたけれど私はショッピくんに言ったように戸締りはちゃんとしておきました、と言う。するとらんらん様が黙って立ち上がって
｢………………ゾム｣
｢うっ……はい｣
｢ちょっとツラ貸せ。｣
｢ちゃうんすよ、起こしたろ思うてただけなんすよ｣
｢ゾム｣
｢……………………………………ﾁｯｽ｣
ゾムさんがめちゃくちゃに冷や汗をかき始めたのでらんらん様を呼び止めて先程トントン様にしたように説明すれば｢…………Aが言うなら｣とお咎めを許していただけた。
その頃上の階ではトントン様が寝坊組を叩き起してお説教をしていた。
｢全く情けないでほんま。御客人の方がはよ起きて準備までしてくれとるなんて｣
｢……………………すまん｣
｢ごめんトンちぃ、｣
｢ふあぁ〜あ｣
｢コネシマさんはシャキッとしてくださいよ｣
｢はぁ、こりゃだめめう。｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 38人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：こゆき | 作成日時：2019年9月16日 18時
