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昨日選んでおいた洋服に身を包み、仕事用の化粧道具で薄く化粧をした。無意識に鞄に入れていたらしく、数年社会に出ればこうなるのかと時の流れを感じた。ヴェールをつけているとノック音が響く。
｢Aさん｣
ショッピくんの声だった。扉に近付けばやっぱり鍵は閉まっていてゾムさんの行動の裏付けになる。苦笑いを零しながら扉を開くとやはりショッピくんで何時ものヘルメットを脇に抱いてジャンパーも手に抱えていた。
｢おはようございます、もうすぐ朝食だし一緒にどうかなって｣
｢おはようございます。わざわざありがとうございます。｣
｢準備は、｣
｢もう終わってますよ｣
｢ほんまですか、じゃ行きましょ｣
1度部屋に戻って鍵をつまんで扉を出た。
｢昨日の夜、ちゃんと鍵って言うか戸締りしてましたか？｣
｢してたはずなんですけどね、｣
イタズラ顔をして私の顔を見るので、見上げてまた苦笑いを零す。それを見たショッピくんは言う。
｢まさかだとは思いますけど、バルコニーの鍵は｣
｢いえ、戸締りはちゃんとしました。流石に念押しされてしないというのは｣
私の答えに少し考えて、思い当たることがなかったようで、
｢じゃあ、何かありましたか？｣
と聞くので
｢…………その、今朝ゾムさんが｣
と言えば納得される。
｢あ〜、え、ゾムさんAさんの部屋にもダクトから侵入したんですか｣
｢目が覚めたら隣で横になっていました。｣
｢まじか、トントンさんに言っちゃいましょ、もう｣
｢でも起こしに来てくださったようなので、｣
｢女の人の部屋に不法侵入とか、それこそ捕まりますよ｣
｢あ、はは｣
そんな話をして食堂へ向かうとトントン様がコーヒーを飲んでいらっしゃる。隈が酷くなっている。早くいらしているのも、もしかして徹夜だったのではと容易に察せる。
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作者名：こゆき | 作成日時：2019年9月16日 18時
