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｢……あの、その……何してるんでしょうか｣
寝起き、開口一番にそう尋ねるほどあまりに理解出来ない出来事が起こっている。
｢おはよA｣
｢え、あの｣
｢おはよ｣
｢は、はい、おはようございます｣
｢準備いるやろうしでちょっと早い時間に起こしに来てみたんやけどさ、ちゃあんと鍵閉めとんやもん。｣
｢え、あの。あの、私ちゃんと鍵閉めてたんですよね、ゾムさん｣
｢おん、閉めとったで。｣
｢………………何故、部屋の中にいらっしゃるのでしょう……？｣
｢なんやA、俺とお前の仲やんそんなん当たり前やろ？？？｣
｢私今叫んでも誰にも怒られないと思うので叫んでもいいですか？｣
｢許してクレメンス｣
以上の会話で察して貰えただろうがゾムさんが不法侵入していて、隣で横になっていた。そもそも会ってまだ一日の、しかもめちゃくちゃに偉い人なのになんで私に構ってくださるのだろうか。ここの人の順応度高すぎはしないか。それに流される私も私だ。
覚醒まで暫くぼーっとするタイプなので判断が鈍っていたが今素顔を、しかも寝起きの顔を見られているのだもうパニックである。
当の本人はくすくすと笑ってこちらを覗き込んでいる。ヴェールがないので布団を被る。
｢出てってくださいよ！！！！着替えるし、身支度するんですから！！！｣
布団の合間から大声で叫べばんふふふと笑って近寄ってきて、
｢あかん。俺には敬語使わんとってえな、A｣
そう言い、がばっと布団を取られてしまう。
｢お寝坊さんやんなぁ？｣
｢違うもん、早く出てってお願い｣
心底楽しそうに私を眺めるので、布団を取られて顔を隠せない私は両手で顔を覆ってゾムさんに言った。流石に本来の目的通り、あんま怒らんでと言いながら部屋を出ていった。…………………………天井にあるダクトから。
｢トントン様に相談して塞がないといけないかも……｣
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作者名：こゆき | 作成日時：2019年9月16日 18時
