【実ｼ兄者】シンデレラ・ストーリーⅡ【d!】 (ページ11)

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ショッピくんが別れ際に

｢鍵閉め忘れんとってくださいよ｣

と念を押して行ったのでしっかり扉の鍵を閉める。朝湯船に浸かったが、お風呂が好きな私にとってあの浴槽は夢のような設備であるのでもう一度入ろう、と湯浴みの準備をする。
その間の記憶が無いままいつの間にかお湯に浸かっていて、一人でしかも狭い部屋で考えるのはまぁ、あまり良いことではない。
昔を思い出す。

人の気持ちが、わかってしまう。

それが、私の秘密だった。
たまにではあるものの、その人の言葉の裏の気持ちがそれとなく聞こえてしまう。言葉以外にも視線でも分かってしまって、分別がつかないほど幼い頃にそれでとても仲良くしていた人に距離を作られてしまったのだった。
私はそれをイレギュラーと認識していなかったし、彼も彼でそんな風な言い方をするつもりはなかったのかもしれないけれど、私の心は荒んだ。そのせいで人見知りをするようになって、両親にも酷く迷惑をかけた。
元々西出身であったが東に転居し、人の視線にもパニックを起こしていた私を気遣って森の中に家をかまえた。私はそんなふたりに何時も申し訳なくて、せめてもと家事や勉強を頑張った。
そんな中、両親が死んだ。私は一人であの家で暮らしていた。ずっと。たまにおじいちゃんが面倒を見てくれていたけれど、それでもそうじゃない時は一人だった。孤独だった。
両親が死んで、私を守ってくれる人が居なくなって、私みたいなのはどうしたらいいのかも分からないまま精一杯頭を働かせた。母親の形見を握りしめて。
そんな中、視界に広がったのが真っ白いカーテンだった。カーテンは陽射しを遮る。だから、私の｢陽射し｣も遮ってくれるはずだと思ったのだ。それからだ。私はいつも顔を隠して生活してきた。
仕事も、おじいちゃんから｢人に尽くす仕事に就け｣と言われていたので、丁度制服にヴェールのある巫女課に就職した。王政時代の一貫校では首席を納めていた為に就職に関して特に文句はなかったのだ。そうして今の私がいる。