【実ｼ兄者】シンデレラ・ストーリー【d!】 (ページ38)

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置かれている机と椅子は、本を読んだりお茶をしたりするためのもののようだった。まあここですることと言えばそんなものだろうな、と少し想像しつつバルコニーに目をやる。

少し、出てもいいかなとドアに手をかけて開ける。外からは花のかぐわしい香りが柔らかな風と吹き込む。眼下の景色と相まって、つい息をもらす。綺麗だった。優しく包まれるような、そんな感覚を覚える。

｢そんな好きですか？ここの庭｣

｢ひぇ？！｣

突然、声をかけられる。多分今変な声が出た。めちゃくちゃに恥ずかしくなりながら、ゆっくり振り返ると、ショッピくんが立っていて

｢ノックしても気づかないし、鍵もかかってなかったんで入らせてもらいました。｣

と言う。それから彼は、驚かせてすいませんと言うので明らかに私が鍵をかけていなかったんだし、自業自得ですと言っておく。

｢ワンピース、それにしたんすね。よかった、ざっくり身長ぐらいしか分からなかったんですけど、サイズも悪くなさそうですね。｣

｢あ、うん！ありがとうございます、選びやすかったです。｣

ショッピくんは私のことをまじまじと見ながら安心したような顔をした。

｢じゃ、行きましょうか｣

｢はい｣

茶色の扉の向こうを指さすショッピくんに、私は頷く。