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｢あー、俺はロボロ。よろしゅうな。基本監視室におってあんま出てこんけど、困ったことがあったら俺の名前叫んでくれればすぐ迎えに行くで。｣
橙の甚平のような服を着た、少しだけ小柄のロボロ様は遠慮がちに仰る。どうやらセキュリティ担当の幹部様らしい。多忙だろうからしっかり気を配らなければ、と心に留める。
｢私はエーミールと申します。基本図書館に居るか、大学にいるかで私もあまり出歩きませんが。よろしくお願いします。｣
エーミール様は大学の教授をなさっているそうだ。博識な方だと噂で聞いたことがあるので一度図書室を覗くのもいいかも知れない。
｢エミさんもロボロもさすが童貞やな！俺ゾムって言うんやけど、さっきはすまんかったな。反射的に投げてしもうてん。許してな。｣
ゾム様は立ち上がって少しロボロ様とエーミール様をからかいなさるとこちらに向き直って両手をパチン！と顔の前で合わせる。遠くの席に座っているので表情までは読めないが、声色が少し申し訳なさそうだった。
｢大丈夫です。寧ろ普通の反応ですよ。｣
と言うと、
｢あ、俺、も……敬語とか、様、とか嫌やから……｣
と少し言い淀む。なんだか少し可愛く見えた。
｢あ、あっと……きに、しないでね｣
何だかだんだん凄く悪いことをしている気分だ。国民から絶対的信頼と人気を誇る幹部の皆様とこんな風な口振りで喋ることが許される空間に、なぜ、私は……考えれば考えるほど沼にハマってしまう気がしたのでやめた。
｢俺はショッピって言います。こん中では一番年下っす。俺、敬語みたいなのが癖なんで、俺は特に……あぁでも様は辞めましょ？｣
多分俺達歳近いっすよね、とショッピさん……くん……が言う。敬語を許されて少し安堵したのもつかの間、まさか敬称を言われるとは思わず、また混乱し始める。
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作者名：こゆき | 作成日時：2019年9月14日 13時
