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煮え立つ鍋の湯気が私の視界にフィルターをかける
考える力を無くして曇った私の頭に
今晩の夕飯のメニューなんてもう一つしか思い浮かばなかった
廉「久々やんな、カレー。」
『っ、びっくりした！』
廉「なぁ、まだできひんの？」
横から鍋を覗き込む廉の綺麗な顔が私の肩に乗る
『もうできるよ。
お風呂の前に食べちゃう？』
廉「ん、食べる。
ほんまに腹減った。」
『じゃあ、ご飯にしよっか！』
こう言うと廉はいつもテーブルをサッと片付けて
お皿を出してくれたり準備してくれる
けど今日は肩に顎を乗せまま廉の腕がそっと私の腰に回った
『なに〜どうしたの？』
廉は滅多に甘えてこない。
仕事、忙しくて疲れてるのかな。
廉「…Aさ、留学行きたい言うてたよな。」
…留学？
『あ〜、昔は思ってた時あったね、そういえば。』
廉「どこ行きたかったん？」
『いや、全然そんなの決めてなかったよ、漠然としてたし。
なんで？？』
廉「…ふーん。なんかAと海外旅行とか
行きたいなぁとか思っててん。」
廉と海外旅行か。
仕事に追われてるし、廉もゆっくりしたいよね。
『いいね、行きたい。』
廉「ほんまに？」
左肩を見れば頷いた私に照れ臭そうに笑う廉がいて
かと思えばスッと私から離れていつも通り
お皿を出して準備を始め出す
廉の、このたまに見せる無邪気な姿が
子供みたいで可愛い。
いつもはしっかりしてる人なのに
私にしか見せない顔な気がして嬉しい
廉「いただきます。」
『どうぞ。』
ダメだよな、一緒に暮らしてるんだから
ちゃんとご飯用意して本当はカレーになんて簡単な料理に
頼っちゃダメだよな。
“うまっ”と零しながら頬張る姿に罪悪感を覚えた
廉「神、何やって？」
『えっ？』
廉「会ってきたんやろ？」
紫耀の結婚がなくなったことを勇太から告げられた時
廉もすごく驚いて心配もしてて
岸くんからの相談も受けてたみたいだった
『あ、うん。
なんか紫耀が振られた、って。』
廉「岸くんも言うてた。
麗香ちゃんが振ったんや、って。」
『結婚、もうすぐだったのに。』
廉「せやな。」
静かな部屋
食器にスプーンが当たる音が響いた
廉「心配なん？」
優しく包み込むような目になぜかギュッと胸を掴まれて
視線を落とした
『…だって結婚がなくなるって大変なことだから…。』
少しの沈黙
それを破るように廉がクスッと笑った
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masumi(プロフ) - 初めまして。更新まっていたので嬉しいです(*^-^*)もう一度最初から読み直してみようと思います。続きもどうぞよろしくお願いします＾＾ (2022年8月18日 10時) (
レス) @page46 id: 773d2c854b (このIDを非表示/違反報告)
夏希(プロフ) - 更新してくださって嬉しいです(涙)ありがとうございます！何年も待っててよかったです！前のお話読み返しながら楽しみにしてます。 (2022年8月18日 9時) (レス) @page46 id: 0d02ac1782 (このIDを非表示/違反報告)
なおちゃん - はじめまして。作品読ませていただきました！毎晩子供達が寝てから読んでました。涙なしでは読めなくて、すごいストーリーに入り込んで夢中になりました。続き楽しみにしています！ (2021年5月17日 10時) (レス) id: 9300674cb4 (このIDを非表示/違反報告)
nagomi0625(プロフ) - 先日、この作品に出会い一気に読ませて頂きました。続きがとても気になります！この作品が完結するの楽しみにしています！更新待ってます。 (2021年2月10日 14時) (レス) id: 90023824b3 (このIDを非表示/違反報告)
bloom(プロフ) - とても夢中になって読み進めてしまいました！大変だと思いますが更新頑張ってください！楽しみに待っています (2020年8月8日 11時) (レス) id: 8a8ded8f17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海羅
| 作成日時：2018年2月26日 4時
