Rainbow Kiss〜ナナイロのキスの味〜No.2

Strawberry Kiss12 ページ26

ぐすり、と鼻を鳴らしたAは、か細い声で言った。




A(だって、だって……一ヶ月ってすごく長いんだよ……忙しくしてるみっ君には想像つかないくらい長いんだよぉ……)




北「……泣かないで」




A(泣くよ……だってもうお別れだと思ってたんだから……グスッ)




俺を想って泣いているAの顔を想像した。


きっと、大きな目からは涙が止めどなく溢れているんだろう。


拭ってやれないこの距離を恨めしく思う。




北「誓うよ……俺の心はAのモノだから」




しゃくり上げて泣くAを落ち着かせるように、優しく語りかけた。




A(そんなの……分かんないよ。今回みたく連絡取れなくなったら、同じように不安に思うし疑心暗鬼になる。またみっ君のこと信じられなくなっちゃうよ……)




やっぱり電話越しじゃ俺の想いは少しも伝わらない。


この手で強く抱きしめて、耳元で好きだと囁かなければ意味がないんだ。




A(逢いたい……)




きっと本当はずっと思っていたけど、言えないでいたんだと思う。


震える声で初めて彼女の口から出た言葉。




北「A……」




A(……ごめん……困らせてごめんなさい)




一瞬息が止まった。


謝らなきゃいけないのは俺の方なのに。


泣かせてごめん……。


辛い思いさせてごめん……。




北「待ってろ……今行く」




計画変更……


本当は明日会いに行く予定だったけど、オーラスも無事終えたことだし、後はメンバーに任せることにした。


スマホを宮田に返して、後は頼んだ、と伝えてから会場を出る。


タクシーにAの家の住所を告げて、あとは目を閉じた。


身体はくたくたに疲れていたけど、これからAに会えると思ったら興奮して眠れない。


いい誕生日に……出来るといいな。

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