Rainbow Kiss〜ナナイロのキスの味〜No.2

Strawberry Kiss10 ページ24

Aside



……なんで？


なんで、宮田のスマホから彼が私に電話を？


宮田が私から電話があったって、わざわざ言ったんだ。


きっと……私はフラれる。


この時、私の頭にはそれしかなかった。




北(かなり久しぶりだね)




A「……うん」




北(あのさ、ずっと連絡しなかった理由だけど)




A「言わないで」




北(……へっ？)




A「そんなの、聞きたくないよ」




北(聞きたくないって……)




A「とにかく、聞きたくないから！！！」




そう叫ぶように言うと、一方的に電話を切った。


別れるのなんて嫌だ……。


こんな終わり方は想像もしてなくて、急な事態に混乱する。


みっ君が芸能人じゃなかったら、もっとたくさん会えるのにとか、手を繋いで外出できるのにとかいつも考えてた……。


彼は仕事が大好きで、仕事に誇りを持っている。


見ていれば分かる。


私欲の為に会いたいとか、行かないでとかは絶対に言えない……。


言えるはずがなかった。


彼を困らせるだけだと分かっていたから。


こんなことになるなら、もっと素直になっていれば良かった。


我慢を積み重ねてダメになるんだから、多少のワガママも言ってみても良かったのかな……。


感傷的になると決まって外に出たくなる。


もうすっかり暗いけど、ストールを羽織ってバルコニーに出た。


曇っているせいで月が隠れていて、いつもより暗く感じる。




A「みっ君……」




夜空を見上げた。


黒々とした空は今の私の心の中のように思える。


しばらく空を見つめていると、ぽつりぽつりと雨が降りだしてきた。


急に雨の匂いが辺りを包んで、雨足が強くなっていく。


すると足元にも雨が入ってきて、裸足にサンダルだけの足を濡らす。


凍えそうなほどに寒くて冷たくて……


だけど、ずっと外にいた。


温かいところでぼんやりしていると、みっ君のくしゃっとした笑顔を思い出してしまうから。


ここでこうしていた方が、落ち着いていられる。


心の整理をつけるにはこの方がいい。


そして、長い間そうしていると、とうとう震えが止まらなくなった。


……それと同時に、ようやく決心がついた。

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