Rainbow Kiss〜ナナイロのキスの味〜No.1

Peach Kiss10 ページ25

藤ヶ谷side



それから、俺たちは信じられないくらい飲んだ。


Aが意外に強くて、それに続き負けじと俺たちも頼んでいると、さすがに健永は倒れ込む。


彼女がトイレに立っている隙に……。




藤「健永、タクシー呼ぶ？」




俺の呼び掛けに、ガバッと起き上がるとニヤリと笑った。




千「はいはい、それでもいいですよぉ」




藤「お前相当酔ってるし……お互いの為にその方がいいだろ。悪いな」




疚しい思いなんてない。


ただ、二人っきりになりたいだけ……。


フラフラした足取りなのが少し心配だったけど 、まぁなんとかなるか。




A「あれ、千賀君……」




藤「んー、具合悪いって帰った」




何食わぬ顔で言った。


そういえば……Aの目も虚ろな気がする。


俺はまだまだ大丈夫だけど、ふわふわしてきているのは間違いない。




A「私もそろそろ帰ろうかな」




藤「そっか、そうだよな。結構飲んだし……いこうか」




少し残念だけど、ここは紳士に送り届けよう。


そして会計を済ませて店を出た。




A「ごちそうさまでした」




藤「いえいえ、俺が誘ったし……その代わり、また行こ」




俺が言うと、無防備な笑みを浮かべて頷いた。


幼い笑顔に胸が高鳴る。


手を繋ぎたくなったけど、彼女はきっと嫌がると思い止まった。


自制心が働くなんて、まだ酔ってない証拠かな……。




藤「あと少しだけ……歩かない？タクシー乗り場まで」




A「うん、いいよ」

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