第20話 ページ21
「ああ……Aと大川が発信機で俺たちの位置を確認。ヤツらを確保できる圏内に全員が入ったら合図を頼む」
「了解。野村、斎藤、久保、近藤は被害者の保護をよろしくね。倉庫から連れ出せれば一番いいけれど……とにかく組員とバイヤーから離れた位置へ連れていくこと」
「はい!」
「残りの俺を含んだ6名は組員の確保だ。できれば買い手も重要参考人として確保ができればいいが……まあそれはできたらで構わない」
テキパキと指示を出す降谷と私に、他のメンバーはついて行くだけで精一杯だ。
「そうね、とりあえずの流れはこんなところかしら……」
「そうだな。明日は実際に倉庫へ行って確認しよう。実動部隊の俺たち10人は必ず行くとして……Aはどうだ?いけるか?」
「ええと……明日の3限は外せないわね。授業が入っているし」
手帳を開いて確認するが、明日の3限は国語の授業が入っている。
授業が終わってから車を飛ばすしかなさそうだ。
「杠葉さんが、教師をしている……」
「ちょっと、今言ったの誰よ。失礼ね」
キッと睨むと、全員ビクリとして勢い良く首を振った。
なんて失礼な部下たちだろうか。
「そうか、わかった。じゃあ、その授業が終わってからこちらへ来れるな?」
「ええ」
降谷は軽く頷き、再び地図に目を落とした。
「人身売買、か……無事に逮捕できればいいんだがな」
「何言ってんのよ、降谷。逮捕できれば、じゃなくて逮捕するの!」
「はは、そうだな。全員、明後日は気を引き締めていけよ」
降谷が笑ってそう言うと、全員がおう!と気合いを入れてそれぞれ散っていった。
珍しく弱気な降谷なので、何かあったのかと心配になる。
「どうしたのよ、降谷。いつものあの無駄な勢いはどこに行ったの?」
「なんか馬鹿にしてないか?」
「してない」
努めて純真無垢な表情をつくるが、どうやら逆効果だったようだ。
ため息で呆れられてしまった。
「まあ、最近組織の方が忙しくてな。その上また面倒な事件が起きて……まったく……」
「弱気な降谷なんて珍しい。まあ疲れてるんでしょ、今日と明日はゆっくり休みなさいよ」
「……優しいAなんて珍しい」
「なんですって!?」
心配した分、損した。
軽口を叩けるぐらいこいつは元気だ。
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恋(レン) - めちゃおも!ガンバって!сражатесь! (2018年6月30日 23時) (レス) id: 78c191449c (このIDを非表示/違反報告)
れいんぼぉー(プロフ) - 朝霧さん» ありがとうございます!ほぼ私が読みたいがために書き始めたようなものなのですが、そう言っていただけると嬉しいです!これからも頑張りますので、応援よろしくお願いします! (2018年1月6日 8時) (レス) id: 6eca2fb2bd (このIDを非表示/違反報告)
朝霧 - めっちゃ面白いです!!どっちの話も好きなので、こういった小説が読めて凄く嬉しいです!これからも更新頑張って下さい!楽しみにしてます! (2018年1月6日 0時) (レス) id: 245aacf69a (このIDを非表示/違反報告)
れいんぼぉー(プロフ) - 銀狼さん» ありがとうございます!更新、ゆっくりかもしれませんが頑張っていくので、応援よろしくお願いします! (2017年12月24日 11時) (レス) id: 6eca2fb2bd (このIDを非表示/違反報告)
銀狼(プロフ) - とても素晴らしい作品ですね!これからも更新頑張ってください!応援してます! (2017年12月23日 19時) (レス) id: a78c622004 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:れいんぼぉー | 作成日時:2017年12月23日 14時