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「まあ、子ども相手に渉も手は出さないか。」

いつもならここでムッとするところなんだろうけど。

今日の私は怒りもせず、生暖かい微笑みで眺めてるだけ。

だって、あれからほとんど毎晩いたしてるし。

思い出しただけで、顔が緩んできちゃう。

「今までのあんたは、渉が指示しないと何もできなかったのに。
今日は渉の行動を先に予想して動いてた。
成長したんじゃない?あんたも。」

そう誉められて、ますます顔がニヤけてきちゃう。

最近は横尾さんの顔を見るだけで次に何をするのかとか、予想がつくようになってきたんだよね。









帰り際、惇菜さんは一通の封筒を横尾さんに手渡していた。

「2人で来て。」

そう言って惇菜さんは、派手な車で帰って行く。

お見送りの後、

「何かのチケットですか?」

カウンターに置かれていた封筒を手に取れば、目に飛び込んできたのは、金の箔押しの『寿』の文字。

「…え?これって?」

「結婚式の招待状。」

横尾さんは驚きもせずにそう答えると、後片付けに取り掛かってる。

「結婚するんですか?惇菜さん。」

「言わなかったっけ?」

聞いてないよー!

何でそんな大事なこと言わないかな。









横尾さんの話によると、ちょうど私達に鬼絡みしていた頃に、既に結婚が決まっていたらしく!

「てっきり、惇菜さんは横尾さんのことが好きなんだと思ってた。」

「前に、惇菜にこの家の出入り禁止を言い渡した時に言ってたよ。
姑か小姑みたいな気分なんだって。」

何だそれ。

ある意味、嫁いびりだったわけ?

ホッとして力が抜けて、ソファーにぐったり座り込んだら、横尾さんは苦笑い。

「たぶん、結婚しても変わらないと思うけどね、惇菜は。」

「また勝手に、縁側から家に上がってきちゃうの?」

「あるかもね。」

なんて言われて、私はまだソファーから立ち上がれずにいた。








掃除が終わった横尾さんは、私の背後に立ってヘッドマッサージをし始める。

「誉められてたじゃん、今日。」

「…うん。」

あまりの気持ちよさに、そのまま瞼を閉じた。

「俺も思ってたよ。
最近のAは何も言わなくても、俺のやろうとしてることに気付いてくれるって。」

「本当?」

「今までこんなアシスタントはいなかったなー、って。」

「それって誉めてる?」

「かなり。
多分もうこの先、こんなアシスタントは現れないんじゃない?」

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あおこ(プロフ) - ああああああ永遠に続きを読み続けたい、、(yellow)ほど好きです。 (2020年4月19日 10時) (レス) id: 8d319b548e (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - ちびさん» ありがとうございます(*'ω'*)何度も何度もなんて、ありがたい!!こちらこそ、読んでいただいてありがとうございました。すべての完結までに時間がかかりましたが、私も書いていて楽しかったです♪ (2018年3月8日 22時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - ★mmiioo★さん» コメントありがとうございます。返信と更新がすっかり遅くなってしまいまして!申し訳ないです(/ω\)とうとう終わってしまいましたが、mmiiooさんの満足していただける話になっていたらうれしいです(*'ω'*) (2018年3月8日 22時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
ちび(プロフ) - どの回も大好きで、何度も何度も読み返してます。まだまだ、リピーターします。素敵な作品、ありがとうございました。 (2018年3月7日 22時) (レス) id: de8692953b (このIDを非表示/違反報告)
★mmiioo★(プロフ) - お祖母ちゃんびっくらこいたよね。気まずい!わったーは信用されてたんだろうから、さてどうする? (2018年1月28日 13時) (レス) id: 59f57126ed (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わかめ | 作成日時:2016年6月27日 23時

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